上場会社の監査法人の交代、会計監査の実務などを解説しています。

83 残高確認を期末日より前の時期に済ませることがあると聞きました。当社でもそうしてほしいのですが。。。

解説

1     担当者にとって気になる?点

残高確認とは、外部に対して残高を文書で照会し、回答を回収する手続きを言います。

以降では、監査現場で用いられる略称である「残確(ざんかく)」を使います。

通常、残確は期末日を基準にし、3月末から5月上旬までの決算繁忙期に監査対応しなければならないので、その前に済ませてほしいと思うかもしれません。

2     経理担当者に理解してほしい点

基準日とは、確認先に照会する金額の基準日です。

期末日を基準日として、4月から5月にかけて回収するのが煩雑なのは監査法人側も同じです。

そこで、残高の差異が生じないか、出ても少額であるような債権管理体制のよい会社では、例えば2月末日を基準日にして残確を実施し、3/1から期末日までの取引は得意先元帳をトレースすることで期末日の売掛金残高を妥当とする方法を採用することがあります。

3     念のため補足する点

一見、いいことづくめの手続きですが、以下の点に留意する必要があります。

まず、残確のうち売掛金・貸付金・買掛金などの債権債務の項目に限られる点です。

預金などは取引量が多くトレースする作業の方が煩雑になってしまうこと、在庫などは期末に架空在庫の計上の財務報告リスクがあるので、期末日を基準に実施することが不可欠であること、のためです。

また、過去の残確の回収結果を分析し、回答差異が多い会社では慎重な扱いが望まれます。

実際、以前、私が主査の会社で、2月末日を基準日で残確を発送してみたことがありますが、決算前の準備時期の3月に新たな作業が増えてしまった形になり、一回で止めてしまった経験が有ります。

【経理担当者にとって】

期中に残確を発送することは可能であるが、自社にとっての省力化になるのか慎重に検討しよう。

[シリーズ] 「監査上の重要性の基準値」から理解する監査法人対応 Q&A

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