上場会社の監査法人の交代、会計監査の実務などを解説しています。

「日本公認会計士協会の品質管理レビュー」の弱点を少しだけ紹介します②

税理士,川崎,日本橋

金融庁による検査と対比すると、日本公認会計士協会の品質管理レビューチームが構造的に抱える弱みが見えてきます。(ただしJICPAの品質管理レビューの構造上の問題を丸々公開してしまうと、レビュー活動の妨害となる可能性がありますので、以下に、サワリだけ述べます。)

「レビューチームが、ある監査法人にレビューに行って、担当監査クライアントの調書をレビュー後に、当該監査クライアントへ金融庁による検査が入る場合」が問題になります。

金融庁による検査の作法は、調書をコピーし(ひどい時には、100%全部コピーし)、任期付きの、最近まで監査実務に従事していたCPAが、何か月も徹底的にチェックし、指摘文書を作成します。

ですので、「日本公認会計士協会の品質管理レビューで見つからなかった不備事項が、金融庁による検査によって山のように見つかる」という構図になりがちです。

したがって、「そもそも、品質管理レビューなんて、実効性がない → 意味がない → JICPAの品質管理レビュー部隊を解体して、金融庁による検査の体制を拡充して一本化した方がよいのでは?」という意見も内外で言われ始めているようです。

実際、大手監査法人はもちろん、中小監査法人にも、もう2巡以上回っており、当初の目的であった、監査の質の底上げは達成されているようです。それは、最近の指摘事項が、重箱の隅をつつくような内容のものが増えていることからも分かります。

また、品質管理レビューの現場で対応した感じとして、チェックリストが毎年改訂・増加する中で、レビュアーがチェックリストを潰すので精一杯で、表面だけチェックしているようにも見えます。(それはそれで、レビュー対応としては、やりやすい面もあるのですが)

レビューされる側としては、全体としての手続きの整合性の視点から検討されるが、ミスがあると監査意見に直結する=重大なミスと指摘される可能性があるので、一番つらいのです。。。。しかし、上述のように個々にチェックリストで指摘されるのは、指摘されても、個別な、重要性の乏しいことで収まることが多く、これが、レビュー対応を一層容易にします。

また、従来より構造的な問題と指摘されている「人の問題」も、相変わらずです。具体的には、

  • 現場で作業するレビュアーの質の低下
    → 現場での協議で決めつけ的な発言をするものの、戻ってJICPA内で上司から間違っていることを指摘され、翌日訂正するレビュアーが増えている。要は、〇〇〇のないレビュアーが増えている。
    → これは、レビュアーが大手監査法人ごとの枠の面があり、レビュアーの資質、スキル以外のところで人事が決まっているためのようです。具体的には、、、、(以下自粛)。
  • 組織のトップから中堅クラスの、「浦島太郎」化
    → レビューチームの人事をみれば一目瞭然ですが、トップ以下中堅までの人事が再任を繰り返されているため、監査現場から離れているので、最新の実務を知らない。
    → 最近は、業務の品質管理のためか、レビュー期間中に上司が数時間現場に来るが、その人たちの一部の監査判断に対するコメントは、(出身母体である大手監査法人の最近の品質管理からも)ズレていると、もっぱらの評判である。

最近、JICPAの品質管理レビューは、「これまでの『指導』のスタンスから、『監督』のスタンスへシフトする」と言っているようですが、現場でのレビュアーの協議の様子を伝え聞く限りでは、「重箱の隅を突っつく指摘に、拍車がかかっているだけ」のようです。

またレビュー対象は、上場会社と大会社のみが対象でしたが、それを非営利法人等にも拡大することになり、以上の弊害(弱点?)が一層顕在化するとともに、「的外れな指摘」がまた増える可能性もあります。

以上の事情から、「不祥事等が起こった等の企業に絞って、重点的に、徹底的査閲することができる」金融庁による検査に一本化し、罰則を重くすることとセットで運用する方が、確かに実効性があるといえるでしょう。

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