始めに
ここでは、監査人とうまくコミュニケーションをとるために、あらかじめ知っておくとよい(有利な?)ことや、実務上の知恵を、ご紹介していきたいと思っています。
私自身が体験したことの他、知人からの相談等に対するてん末や、
日本公認会計士協会 品質管理レビュアーとの協議の過程で検討した論点等から成ります。
このシリーズの構成上の特徴は、以下の2点です。
- 前半では、監査法人が個々の課題を束ねる上での思考パターンである、「監査上の重要性の基準値」を、かなり具体的に解説している。
- 後半では、「個別の」状況・事象・事例」に対して、「平均的な」監査人・監査法人であれば、「通常」こう判断する」というトーンで書いている。
1.についてですが、
「監査上の重要性の基準値」ひいては、「グループ監査」の概念は、従来は、大手監査法人の監査マニュアル中でのみ整理されれていた内容であること、また、これを不正を企図する人に悪用される可能性もありますので、従来であれば、これを監査法人が公表するのは難しい環境でした。
しかし、平成23年に公表された、一連の「新起草方針に基づく監査基準委員会報告書」と、その後の「監査ツール」の公表により、ここで書き起こした内容と同程度のことは分かる状況になりましたので、これを機に公表しました。
2.についてですが、
言外の条件次第では、結論が180度変わることもありますので、これを、
担当会計士を言い含めよう、言い負かそうとするために使おうと思うと、うまく いかないと思います。
是非、監査法人と(論争するのではなく)協議するための基礎的前提の理解用に お使い頂けますと幸いです。
なお、私が業務執行社員として関与しました監査クライアント様の事例は除いております。
また、現在、掲載している記事も、監査実務の進展や、私自身の考え方の変化から、修正または逆に削除する可能性もございますが、あしからずご了解願います。
経理担当者向けに、とにかく分かりやすいことを最優先した都合、理論的な厳密さを若干欠いている箇所などがあり、疑問を持たれる方もおられるかもしれません。
そこで、このシリーズに記載したことに関するご質問がございましたら、原則として回答いたしますので、その場合には、お問い合わせフォーム等から、ご連絡ください。
※ なお、お問い合わせはCPA以外、例えば会社の経理部・監査役等の方に限らせて頂きます。
それでは スタートです! → 目 次 の中の、各タイトルをクリックすると、その記事に飛びます。
【2023/3/23追記】
2023年1月に改正監査基準委員会報告書600が公表され、いわゆるグループ監査について改正が行われました。
上の「目次」の記事のタイトルのうち【改正前】とあるものの内容は、大手監査法人では既に適用されず、中小監査法人でも「令和6年7月1日以前に開始する事業年度」の法定監査では適用されないことになります点、ご留意ください。
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