会計士のIFRS適用の実務の経験値を計るのには、
「IFRS適用で、大変な作業は?」というご質問をされると、参考になると思います。
多くの会計士は、IFRSというと、時価主義、時価主義というと評価替えの仕組み、と回答するようです。
私見ですが、一番大変な作業は、有形固定資産と棚卸資産へのIFRS適用と思っています。
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有形固定資産の点数が多い企業にあっては、
最高(最悪?)5つの簿価を固定資産システム内に保持する仕組みを確保しておかなければなりません。
それらを、有形固定資産の一点一点ごとに、
IFRSに定める帳簿価額を算出する仕組みと情報を入力する作業が大変です。
しかし、この作業だけであれば、「大変な」レベルなだけです。
システム的には、ベンダーがデータ移行ツールを作って提供してくれるので、
(バグ等で若干は手戻りの手入力フォローを要するとしても)
ソコソコのバッチ処理が可能であるので、「まあまあ大変」レベルです。
しかし、この作業の前段階で、「固定資産の棚卸」をすることになりますが、
それは「本当に大変な」レベルになってきます。
正確にやろうとすると、機械装置、工具器具備品のレベルまでやることになりますが、
簿価ゼロのものも多数存在することが想定されますから、それらを拾ってこないといけません。
拾った後に、それらに時価を割り当てます。。。。
しかも、原則として、全ての子会社でも行います。
つまり、海外子会社も。。。
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次に大変な作業は、
棚卸資産の評価方法について最終仕入原価法を適用している子会社について、
会計方針を変更する作業であると考えます。
この課題を解消しようとしますと、棚卸資産の受払システム導入をすることになります。
つまり、業務に影響を与えることになります。
また、業務フローに組み込まれている受払システムが古いシステムであったりしますと、
これを改修することが困難で、では、新システムを導入しないとと。。。と作業範囲が拡大してしまいます。
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これらをクリアするためには、監査法人と協議をして、重要性を勘案して、合理的に作業を進める必要があります。
監査法人側には、ジャッジする力が求められます。
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