監査法人の良し悪しを判断する基準の追加版をご紹介します。
具体的には、「売掛金等の残高確認状(注:銀行から受け取る残高証明書などではない)の発送の際、監査法人の封筒ではなく、会社の封筒を使わせてくれ」という監査法人です。
なぜこれが判断基準になるかというと、==========以下の事情があるため、「あり得ない」のに、それを強いるので、
・監査が分かっていないか、
・守銭奴である可能性がある、
ためです。
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残高確認の要諦は、回答が監査法人へ直接郵送されてくることです。これを会社の封筒で実施してしまうと、
- 確認先の人が、「ああ、取引先からのなんか書類かな」と軽く考えて、回答が遅れる
- 回答が遅れると、代替手段をとるため、会社担当者がその対応に追われる
- まず、会社に問い合わせが来てしまい、確認の実務がよくわからない会社担当者が的外れな回答をしてしまう(例 債権確認の書類と誤解する)
という点で、不効率、不正確になるリスクがあります(注)。
(注) 上場会社の中には、債権確認の意味で、監査法人のする残高確認と同じ作業をする会社もあり、「その内数で監査法人分」と処理されているようですが、本来は、「別々に作成し」「重複があっても、確認先に事情を説明し、2つ回答してもらう」のが理論的です。
残高確認の業務で、会社の封筒を使ってはいけないという明文の規定はありません。しかし、実際には、
・封筒が会社のですから、会社に回答が返送されてくる→ それを会社から監査法人にFAXしてもらう(!)
・回収の消込も会社にやらせる(!)、だから回収遅延先への督促も会社にやらせる(!)
という業務フローにしていますから、トータルで考えると、立派な、監査基基準委員会報告書の「確認」への違反です。
過去、パートとして支援した監査法人で、上のような運用を初めてみて、ビックリしましたが、最近、私が税務顧問先の親会社の上場会社の監査法人もそうだと聞いて、ああ、なるほどと得心しました。
なお、そのうち1つのトップは、なんと、某会計大学院の監査論の教授のようです。監査が分かっていない方に監査を教えてもらっているとは、こんな方に監査の講義を受けている学生さんはお気の毒です。
またもう1つのトップは、税務業務が中心です。このような会計士は監査業務をビジネスと考え、「収益ー費用」の最大化しか考えていない気がします。
なお、大手出身の会計士にとって、確認状を監査法人以外の封筒で回収することは、確認の意義を考えれば「あり得ません」が、日本公認会計士協会の品質管理レビューでは、過去、この点の指摘はありません。
協会レビューのレビュアーは大半が大手の監査法人からの出向者ですので、「あり得ない」ことをチェックする意識はなく、この点、指摘が漏れる一因かもしれません。
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