ここでいう、管理担当役員とは、社内で、実質的に、交代後の監査法人を選ぶ権限を有する地位にいらっしゃる方を指しています。
会社によっては、経理部長かもしれませんし、総務人事部長かもしれませんし、企画部長かもしれませんし、管理部長かもしれません。
「経理担当者等からの報告を聞く限り、どうも、従来の監査法人には不満があり、最適とは言えない」ことを把握しますと、選択肢として、会計監査人の交代を検討されることになると思います。
しかし、、、、過去に、監査法人を何度も選んだ経験のある方など、まずいません。その方が、監査法人を交代することが課題と認識された際に、まず、どのように考えるのでしょうか?
何はさておき、まず社長の意向を念頭に置かれるかもしれません。
ただ、意外な方もおられるかもしれませんが、社長にとっての、監査法人の選び方とは?で述べました通り、監査法人の選定には、社長はほとんど関係ありません。
では、改めて、「自社にとって最適な監査法人を探せばよい」のですが、その条件などんなものなのか? とにかく監査報酬が激安なところがよいのか? 大手が良いのか?
監査法人の営業担当者は、耳さわりのよいことのオンパレードです。
別のところでも述べましたが、やはり会って、話してみるのが最善だと思います。
役員クラスの方は、会ってきた人の数の多さが違います。会って、少し話せば、専門知識の程度は分かりませんが、コミュニケーション能力は分かります。
冷静に考えれば、監査もしょせん仕事の一つであり、仕事であれば、コミュニケーションが8割を制することは、役員クラスの方であれば、経験的に了解されているところと思います。
最後に、お会いされる際に参考になりうることを、以下にまとめておきます。
・他の監査法人の人と会うこと自体で、監査人を交代するかの風評はまず起きませんので、ご安心ください。
お会いした監査法人から漏れるリスクはまずありません。その監査法人にとっては、そのことを秘密にしたい(=今後ともご縁を持ちたい)ことはあっても、口外するメリットはないからです。
・複数の監査法人、会った方がよろしいと思います。
最初に面談する際には、複数会っている云々を、相手に説明する必要はありません。もし、かようなことをズケズケ聞いてくるような会計士だとしたら、、、、相手様の心理を理解されない会計士は、そこでコミュニケーション能力に疑義のあると判断してよいと思われます。
・「もし監査人を交代する場合、担当することになる会計士と会う」のが、必須です。
これが一番大事です。「営業は専門の会計士で、実務担当は別」では、事前に会う意味がありません。「監査業務は組織でやっているのだから、人は関係ないのでは?」と思われるかもしれませんが、それは違います。
・経理部長も同席
もしも、当該役員の方が、最近の会計・監査には詳しくない場合に、面談相手の会計士が、会計・監査の専門的なトピックを使われてしまうと、その良し悪しの判断がつきません。ですので、堂々と、経理部長を同席させるのが良いと思います。
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