監査法人が交代する場合、前任監査人から後任監査人へ業務を引継ぐ必要があります。その際、業務のスムーズな引継を本旨とするのであれば、後任監査人は前任監査人の全ての監査調書を閲覧できることが、必要なはずです。
しかし、現実問題として、監査の引継ぎ時に、前任の監査人から、監査調書を殆ど見せてくれない、という実務上、苦労があります。特に、「大手監査法人→中小規模の監査法人」への引継ぎの際には、詳しく調書を見せてくれないことが多いです。
良く言われる理由の一つが、「調書は監査のノウハウの塊なので、他者に魅せられない」、というものです。具体的には、本国から指示されているロイヤリティ上のルールのため(=日本の自分たちの責ではない)と弁明されます。一見、もっともな(=少なくとも、前任の監査人にとってはもっともな)理由なのでしょうが、ムラのルールにしがみついているだけでしょう。
しかし、以上の傾向は、今後は、かなり解消されると期待されます。その理由は、なんといっても、オリンパス事件です。
オリンパス事件で、監査の引継ぎが問題になりましたし、最大手の2監査法人の所業でしたから、きっと率先して、監査調書を見せてくれるものと期待しております。
<2018年10月 追記>
某監査法人の補助者として、PwCあらた監査法人からの引継ぎ業務に同席する機会を得ました。
あらた監査法人へ所定の時刻に出向き、会議室に通されると、そこには会社法単独の引継ぎなのに業務執行社員1名が同席していて。。。。「へー」と感心したのもつかの間、開始直後から、説明はインチャージに任せて、ずっとパソコン画面をにらめっこして作業をしていました。(ああ、この時間を業務に直接作業としてチャージしたかったから、この会議室に来た、ということだったのですね)
インチャージの方はこちらの質問にはすべて回答してくれましたし、調書もPCからプロジェクターで見せてくれましたが、、、、必要な個所は、全部、手で書き写させられました。
AIの監査を標榜する監査法人様も、後任の監査人には手作業を強いる、、、しょせん、この程度 (^^♪
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