監査の営業とは、上場会社に対して、監査人の交代を提案することです。
「実は、会計監査人は結構交代しています。」 や、「何と!この半年に 34 社もの会計監査人が交代(実は、会計監査人は結構交代しています②)」 でも ご紹介しました通り、最近では、会計監査人の交代は、珍しくありません。
それに対応する形で、比較的、規模の小さくない監査法人の中には、会計士ではない人を専任の担当者として配置するなどして、監査人の交代の営業を常時、行っているところもあります。
(2018・4・2修正: この1年間は、いわゆる東芝事件の後の監査の厳格化により、いわゆる大手監査法人では新規営業は積極的に行っていないようです。以上の事情は、現時点では、いわゆる準大手よりさらに規模の小さい中堅の監査法人に当てはまることです。)
現状の監査法人に問題があり、自社にフィットする後任の監査法人が見つかるのであれば、監査法人を交代することを前向きにご検討されるのがよいとは思います。
。。。しかし、一部の監査法人の中には、安易に交代することに注意しなければならないところもあるようです。
多くの会計士が誠実に監査・開示業務を行っている昨今にあって、こんな監査法人と交代するのは止めた方がよいのでは?という事例を、以下で ご紹介したいと思います。
- 「傭兵部隊タイプ」 - 実際の監査は、外部のパートの会計士に丸投げ
その監査法人の代表社員たちは、実は監査をもう何年もやっていない会計士であり、最近の監査実務・開示実務はよくわかりません。
その監査法人の監査クライアントの監査現場には、監査報告書にサインする業務執行社員は、通常、まず来ません。
では、誰が来ているのか?誰が監査しているのか?というと、、、、最近大手監査法人を辞めた会計士たちです。
そこで、「傭兵部隊タイプ」と名付けてみました。
そのような監査法人の業務執行社員たちにとって、上場会社の監査は、「ビジネス」なのでしょう。自分たちはサインするだけで、実作業は外部のパートの会計士に丸投げするビジネスなのでしょう。そして、新たに1社受嘱したら、パートの傭兵会計士を募集し、あてがい、自分たちはサヤを抜く、というビジネスモデルなのでしょう。
実は、以前、私も、一時期、「傭兵」として監査の補助者をしていたことが有りますが、、、、自分の税務業務が忙しい人などは、とにかく時間内に監査の形をまとめることが優先で、監査対象の検討がおざなりであったり、ひどい人は監査中に自分の仕事を内職していたりと、、、、監査現場のモラールは最低でした。
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以上の類の監査法人は業界でも一部でありますが、有名であり、以前、そこからの営業資料を、監査クライアントから見せて頂いたことがあります。
- 「高い品質で」
- 「ご納得いただける対価で提供することを理念とし」
- 「皆様のご期待に添えますよう、当監査法人メンバー全員が鋭意専心、精励いたす所存でございます。」
- 「重要度や緊急度に柔軟に対応してメリハリのある監査業務を実施する」
- 「現在の監査報酬から企業努力で、3割カット致します」
等々の字句がオンパレードでした。
貴社にも届いているのではないでしょうか?
他の監査法人の話しを聞いてみることは、とても良いと思います。しかし、くれぐれも、変な(?)監査法人に引っかからないようにしてください。
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