始めに
誤解されやすい点などを、以下に、Q&A形式でまとめております。
Q1
AUPの実施対象を教えてください。
A1
以下の表の通りです。
対象 | 補足 | |
設立形態 | 総合型DB | 会計上の不正を把握することが困難 |
資産規模 | 20億円超 | 会計上の問題が生じた場合の影響範囲 |
監査範囲 | 業務経理、資産額 | 厳正な確認が必要とされる |
Q2
「総合型確定給付企業年金基金に対する合意された手続業務」の概要がよくわからないので、1年、実施せずに、様子をみたい気もあるのですが、、、初年度に実施しない場合にはペナルティはあるのでしょうか?
A2
行政当局は確定給付企業年金法第101条及び第102条に基づき、3年に一度実地監査を行い、必要な指導を行うこととされています。
したがって、統合型DBにおけるAUPの実施結果については、行政監査の際に提出を求め、実施結果を確認することで行政監査の参考にされることが想定されます。
仮にそのような場合に、「AUPを未実施のため、報告書はありません」と回答して済むかどうかということです。
Q3
AUPを受けるのに、どれくらいの費用が掛かるのでしょうか?
A3
第20回企業年金部会の資料が公表されており、そこで、想定される工数と単価とからコストの見積もりが示されております。
この工程をモノサシとして、AUPを実施する会計士と協議し、「この部分は事務局で対応するので、減額してほしい」「この部分は会計士側で対応してほしい、その分報酬にオンします」「これよりタイトなスケジュールで、優先して実施していただく分、報酬にオンします」といった調整を経て見積もりがなされると推定します。
Q4
せっかくAUPを実施してもらうのですから、年金だよりにAUPの実施報告書を掲載したいと考えています。その方が、理事長や代議員に説明しやすいのですが、、、、
A4
年金だよりに「~公認会計士にAUPを依頼し、その実施結果報告書を受領している」旨を掲載することは問題ないと考えられますが、その実施結果報告書 自体を掲載することは、想定されていません。
理由は、AUPという、限定された手続を実施しただけのもの(=保証しているわけではないもの)であるにもかかわらず、それを見る一般の平均的な利害関係者は「保証をしてもらった」と誤解されるリスクが無視できないためです。
その意味では、そもそもこの実施結果報告書を目にする人も、代議員以上と事務局の職員等に限定されるものです。
Q5
毎年、決算→代議員会→厚生労働省に提出、と綱渡りの日程なのですが、これに公認会計士のAUPを実施てもらう日程的な余裕はないのではないかと心配しています。
A5
スケジュールについては、AUPを実施する公認会計士の側でも、必要最低限の作業時間は確保したいと推定されるため、事務局と公認会計士との間で、最初にしっかりとすり合わせをしておく必要があります。
AUPを実施する時期の、公認会計士の時間的な余裕は、個々の公認会計士によってケースバイケースであることから、AUPの契約時において、その旨を公認会計士に伝えておく必要があります。
Q6
AUPを実施できる公認会計士を、どのように探せばよいのでしょうか?
長年、当基金の顧問をしている公認会計士にそのまま依頼する方が、年金基金の知識も相対的にはあるし、当基金の都合も忖度してくるので、ベターかなと考えているのですが。。。。
A6
AUPが実務に導入されるのに合わせて、公認会計士に対して年金基金の実務等に関する研修を行い、当該研修を受講した公認会計士の名簿の作成を進めることになっております。これにより、年金基金におけるAUPを実施するために必要な知識を備えたAUP業務提供者を確保していく方針です。
当該名簿の初回の提供は、2019年6月頃が予定されており、その後も定期的に更新することが予定されております。
もちろん、この名簿に記載されていない公認会計士にAUPを依頼することは、入口では否定されておりません。しかし、以上の名簿という制度的な手当がなされている中で、敢えて、名簿外の公認会計士を選定する以上、その人の専門性などを、基金側で説明責任を負う形になるので、かえって手間がかかると推察されます。
なお、厳密には「公認会計士等と同等の水準で業務を遂行できる場合に限り公認会計士等以外の者でも利用可能とはされています。
しかし、その例示を見ると、果たして公認会計士以外にいるのか?といった条件ですので、普通に公認会計士等を探した方がよいと思います。
Q7
総合型確定給付企業年金基金に対する合意された手続業 に係る 業務契約書の記載例は、現時点で公表されている実務指針等には見当たらないのですが、、、、、
A7
日本公認会計士協会のhpにアップされておりますので、ご活用ください。 → こちらから
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