上場会社の監査法人の交代、会計監査の実務などを解説しています。

【ご参考】監査の品質管理規程

「監査に関する品質管理基準」、品質管理基準委員会報告書第1号「監査事務所における品質管理」および監査基準委員会報告書220「監査業務における品質管理」に準拠した、「監査の品質管理規程」は以下の通りです。

 ○○監査法人

  監査の品質管理規程

 

第1章 総 則

 

(目的)

第1条 本規程は、当法人及び個々の監査業務における品質を合理的に確保するため、「監査に関する品質管理基準」、品質管理基準委員会報告書第1号「監査事務所における品質管理」及び監査基準委員会報告書220「監査業務における品質管理」に準拠して、当法人における品質管理に関する方針及び手続を定める。

2.本規程は、当法人のすべての監査業務に適用される。したがって、当法人が監査契約を締結しているすべての監査業務の専門要員は、本規程に定める当法人の監査の品質管理に関する方針及び手続を遵守しなければならない。

3.監査責任者は、当法人が定めた品質管理のシステムに準拠して監査業務を実施するとともに、監査チームのメンバーがこれに準拠して監査業務を実施していることを確かめなければならない。

4.本規程は、発行時点で事象が無いものについても、予めルールとして定めおくものを含んでいる。

5.専門要員は当法人が定めた品質管理のシステムの中でも、特に独立性に関連する品質管理のシステムを有効に機能させるための情報を品質管理担当責任者に提供する必要がある。

 

(定義)

第2条 本規程において、品質管理基準委員会報告書第1号「監査事務所における品質管理」及び監査基準委員会報告書220「監査業務における品質管理」で定義されている以下の用語を、当法人の規模や組織等の要素に鑑み、以下のように解釈する。

(1) 「監査業務の定期的な検証」-当法人が定めた品質管理の方針及び手続に準拠して監査チームが監査業務を実施したことを確かめるために、完了した監査業務に対して実施する手続をいう。

(2) 「監査事務所」-個人事務所又は監査法人をいう。

(3) 「監査事務所外の適格者」-監査責任者と同等の適性及び能力を有する当法人外部の者、例えば、他の監査事務所の社員等をいう。

(4) 「監査責任者」-監査業務の実施の責任者、すなわち、専門要員のうち、監査業務とその実施及び発行する監査報告書に対する責任を負う社員等をいう。

(5) 「監査チーム」-個々の監査業務に従事する者をいい、監査事務所等又はネットワーク・ファームに所属するもので、監査を実施する社員等及び専門職員から構成される。監査チームには、監査事務所又はネットワーク・ファームが業務を依頼する外部の専門家を含まない。倫理規則及び独立性に関する指針に定める業務チームのうち監査を実施する業務チームをいう。なお、監査に関する品質管理基準における監査実施者は、監査チームを意味する場合と専門要員を意味する場合とがある。

(6) 「監査調書」-実施した監査手続、入手した監査証拠及び監査人が到達した結論の記録をいう。

(7) 「業務執行責任者」-監査実施の責任者、すなわち、専門要員のうち、専門業務とその実施及び発行する報告書に対する責任を負う社員等をいう。なお、監査業務の場合は監査責任者という。

(8) 「最高経営責任者」-当法人の品質管理のシステムに関する最終的な責任を負う者をいう。当法人においては社員会の代表者とする。

(9) 「社員等」-当法人において、専門業務の業務執行権を有するすべての社員をいう。

(10) 「職業的専門家としての基準及び適用される法令等」-専門業務を実施するに当たって遵守しなければならない基準及び適用される法令等をいう。監査基準・監査基準委員会報告書・監査に関する品質管理基準・品質管理基準委員会報告書、公認会計士法・同施行令・同施行規則、金融商品取引法、会社法、日本公認会計士協会が公表する会則・倫理規則・報告書・実務指針・通達その他及び監査業務の品質管理に係る当法人の内部規程等から構成される。

(11) 「職業倫理に関する規定」-監査チーム及び審査担当者が従うべき職業倫理に関する規定をいい、公認会計士法・同施行令・同施行規則、日本公認会計士協会が公表する会則・倫理規則、独立性に関する指針及びその他の倫理に関する規定をいう。

(12) 「審査」-監査報告書日又はそれ以前に、監査チームが行った監査手続、監査上の重要な判断及び監査意見の形成を客観的に評価するために実施する手続をいう。当法人では、個別監査業務ごとに審査担当者を選任し、当該手続を行う。

(13) 「審査担当者」-監査チームが行った監査手続、監査上の重要な判断及び監査意見の形成を客観的に評価するのに十分かつ適切な経験と職位等の資格を有する、当法人内の監査チームメンバー外の者をいう。

(14) 「専門職員」-監査専門業務に従事する社員等以外の者をいう。監査事務所が雇用する専門家(会計や監査以外の分野において専門知識を有する個人)を含む。

(15) 「専門要員」-監査事務所に所属する社員等及び専門職員全体をいう。なお、監査に関する品質管理基準における監査実施者は、監査チームを意味する場合と専門要員を意味する場合とがある。

(16) 「大会社等」-① すべての上場会社等

② 法令により、監査を実施するに当たり、上場会社等と同じ独立性の要件が求められる事業体

③ 独立性に関する指針第1部第26項により追加的に大会社等と同様に扱うこととした事業体

上記①及び②について、我が国においては、公認会計士法上の大会社等がこれらの要件を満たしている。

(17) 「品質管理担当責任者」-品質管理のシステムの整備及び運用に責任を有する者をいう。当法人においては、社員会で決定した社員とする。なお、当該社員は、監査責任者又は審査担当者を兼務できる。

(18) 「品質管理のシステムの監視」-当事務所の品質管理のシステムが有効に運用されていることを合理的に確保するために策定された、品質管理システムに関する日常的監視及び評価(監査業務の定期的な検証を含む。)をいう。

 

第2章 品質管理のシステムの整備及び運用

 

(品質管理のシステムの整備及び運用)

第3条 当法人は、監査業務の品質を合理的に確保するため、以下の事項に関する品質管理のシステムを整備し運用する。

(1) 当法人及び専門要員が職業的専門家としての基準及び適用される法令等を遵守すること。

(2) 当法人又は監査責任者が状況に応じた適切な監査報告書を発行すること。

2.品質管理のシステムは、前項の目的を達成するための方針と、その方針を適用する手続及び遵守状況を監視する手続から構成される。

3.当法人は、本規程を職業的専門家としての基準及び適用される法令等の変更を反映し適時の改訂し保持する。

4.当法人は、品質管理のシステムの整備及び運用の状況を適切に記録・保存するため、品質管理のシステムの整備及び運用状況の文書化に関する方針及び手続を定める。当法人は、品質管理のシステムの文書化において、手書きの記録やチェックリスト等の簡略的な手法によることがある。

 

(品質管理のシステムの整備及び運用状況に係る文書の保管期間)

第4条 当法人は、品質管理のシステムの整備及び運用状況を記録した文書を以下の期間保管する。

・監査調書(審査資料含む。)                      10年

・契約の新規締結及び更新に関する資料           10年

・専門要員の採用、教育等に関する資料           5年

・品質管理のシステムの監視に関する書類          3年

・不服と疑義の申立て及びその対応に関する書類    3年

・監査人の独立性チェックリスト                3年

・その他                                        3年

 

(品質管理のシステムの構成)

第5条 当法人は、以下の事項に関する品質管理に関する方針及び手続からなる品質管理のシステムを整備し運用する。

(1) 品質管理に関する責任(第3章)

(2) 職業倫理及び独立性(第4章)

(3) 契約の新規の締結及び更新(第5章)

(4) 専門要員の採用、教育・訓練、評価及び選任(第6章)

(5) 業務の実施(第7章)

(6) 審査(第8章)

(7) 監査調書(第9章)

(8) 品質管理のシステムの監視(第10章)

(9) 不服と疑義の申立て(第11章)

(10) 監査事務所間の引継(第12章)

(11) 共同監査(第13章)

(12) 中間監査への準用(第14章)

(13) 四半期レビューへの準用(第15章)

 

(品質管理のシステムの周知等)

第6条 品質管理担当責任者は、上記方針及び手続を、本規程等において文書化し、専門要員に配付し、新規採用時及び本規程等更新時にその内容、達成すべき目的、及び個々人が品質に関して責任を有することを説明しなければならない。専門要員は、本規程等に記載されている事項を十分理解し、当法人の方針及び手続を遵守しなければならない。

2.当法人は、専門要員が本規程等に記載されている事項に関する意見又は懸念事項がある場合には、品質管理担当責任者に口頭又は文書で伝え、品質管理担当責任者は、意見又は懸念事項を検討し、必要と認めた場合には改廃の案を立案し、社員会が本規程等を改訂する。

 

第3章 品質管理に関する責任

 

(品質管理に関する責任)

第7条 当法人は、品質管理に関する適切な方針及び手続を定め、品質管理担当責任者は、品質管理のシステムの整備及び運用に関する責任を負い、社員会の代表者が、当法人の品質管理のシステムに関する最終的な責任を負う。

2.社員会は、監査業務の品質を重視する風土を醸成するために、当法人の品質管理に関する方針及び手続、職業的専門家としての基準及び適用される法令等を遵守して業務を実施すること、及び状況に応じた適切な監査報告書を発行することを強調する行動とメッセージを明確に一貫して繰り返し示す。

3.社員会は、監査業務の品質を重視する風土を醸成する際に、すべての監査業務において監査業務の品質が保持されなければならないという要求事項が当法人の運営方針において優先されるということを認識し、以下の事項を実施する。

(1) 監査業務の品質が優先するということが当法人の方針であり、この方針を、専門要員の評価、報酬及び昇進(インセンティブ・システムを含む。)等の人事に関する方針及び手続に反映させること

(2) 当法人の営業や業績上の考慮事項が監査業務の品質に優先することがないように、各管理者の責任を定めること

(3) 当法人が品質管理の方針及び手続の整備や文書化、並びにその支援を行うために十分な資源を用意すること

4.社員会は、社員の中から品質管理担当責任者を選任し、品質管理担当責任者は、品質管理のシステムを整備し、運用するための十分かつ適切な経験及び業務遂行能力を維持し、品質管理上の問題を識別し、理解して、適切な方針及び手続を定める。

5.品質管理担当責任者は、品質管理基準委員会報告書第1号の目的を理解し、要求事項を適切に適用するため、適用指針を含め、同報告書を全体として理解しなければならない。

6.当法人は、当法人の状況によって、品質管理基準委員会報告書第1号の特定の要求事項がすべての監査業務に関連しない場合を除き、それぞれの要求事項を遵守しなければならない。当法人は、同報告書の目的を達成するために、同報告書で要求されている方針及び手続に追加して方針及び手続を定めるべき特定の事項又は状況が存在するかどうかを考慮しなければならない。

7.監査責任者は、実施する監査業務の全体的な品質を合理的に確保するために、当法人が定める品質管理のシステムに準拠して監査を実施する責任を負う。

8.監査責任者の行動及び監査チームのメンバーへの適切なメッセージでは、以下の事項を強調する。

(1) 以下の事項に関する監査の品質の重要性

① 職業的専門家としての基準及び適用される法令等を遵守して監査を実施すること

② 当法人の品質管理の方針及び手続を遵守すること

③ 状況に応じた適切な監査報告書を発行すること

④ 監査チームのメンバーが不服と疑義の申立てを行う場合でも不当な取扱いを受けることはないこと

(2) 監査業務の実施において品質が重視されること

 

第4章 職業倫理及び独立性

 

(職業倫理)

第8条 当法人及び専門要員が関連する職業倫理に関する規定を遵守することを合理的に確保するために、日本公認会計士協会倫理規則(以下「倫理規則」という。)第2条に基づき、以下の職業倫理の遵守に関する方針及び手続を定める。

(1) 誠実性の原則

専門要員は、常に誠実に行動しなければならず、以下の情報の開示に関与してはならない。

① 重要な虚偽又は誤解を招く陳述が含まれる情報

② 業務上必要とされる注意を怠って作成された陳述又は情報が含まれる情報

③ 必要な情報を省略する又は曖昧にすることにより誤解を生じさせるような場合において、当該情報を省略する又は曖昧にする情報

(2) 公正性の原則

専門要員は、先入観を持たず、利益相反を回避し、また他の者からの不当な影響に屈せず、常に公正な立場を堅持しなければならない。

(3) 職業的専門家としての能力及び正当な注意の原則

専門要員は、適切な監査業務を被監査会社等に提供できるよう、必要とされる専門能力を維持し、監査業務を提供するにあたって、適用される職業的専門家としての基準及び技術的基準を遵守の上、職業的専門家としての正当な注意を払わなければならず、自らの指示の下で業務を行う者が監査業務を遂行するに際しては、適切な訓練及び監督を受けていることを確認しなければならない。また、監査の固有の限界について、被監査会社に説明しなければならない。

(4) 守秘義務の原則

専門要員は、正当な理由なく、業務上知り得た秘密を他の者に漏えいしたり、自己又は第三者の利益のために利用してはならない。

(5) 職業的専門家としての行動の原則

専門要員は、常に職業的専門家としての自覚を持ち、また、職業的専門家としての基準及び法令等を遵守し、いやしくも公認会計士全体の信用を傷つけ、又は公認会計士全体の不名誉となるような行為を行ってはならない。

2.監査責任者は、当法人の定める職業倫理の遵守に関する方針及び手続を遵守するとともに専門職員がこれを遵守していることを確かめなければならない。

3.監査責任者は、監査業務のすべての局面において、必要に応じて質問等を行うことにより、監査チームのメンバーが当法人の定める職業倫理の遵守に関する方針及び手続を遵守していない形跡がないかについて留意しなければならない。

4.監査責任者は、当法人の品質管理のシステム等を通じて監査チームのメンバーが職業倫理に関する規定を遵守していないことに気付いたときには、社員会で審議するなどの適切な措置を講じなければならない。監査チームは、職業倫理に関する規定の遵守に関して識別された重要な問題及びその問題の解決方法を監査調書に記載しなければならない。

5.監査チームは、倫理規則、独立性に関する概念的枠組み適用指針及び職業倫理に関する解釈指針等を理解し遵守しなければならない。

 

(独立性)

第9条 当法人は、当法人及び専門要員が職業倫理に関する規定に含まれる独立性の規定を遵守することを合理的に確保するために、以下のように独立性の保持のための方針及び手続を定める。

(1) 独立性に及ぼす影響の評価を当事務所全体として行えるように、監査責任者及び非監査業務の業務執行責任者は、関与先に提供する業務内容を含め、業務契約に関する情報を当法人に提供しなければならない。また、専門要員は独立性の保持に疑いを持たれるような関係や外観について当法人へ速やかに報告しなければならない。

(2) 当法人は、以下の事項を実施できるようにするために、独立性の保持に関する情報を蓄積し、また関係する専門要員にこれらの情報を伝達する。

① 当法人及び専門要員が、独立性の規定に従っているかどうかを速やかに判断すること

② 当法人が、独立性に関連した記録を保管し更新すること

③ 許容できない水準にある独立性の阻害要因に対して当法人が適切な対応を取ること

(3) 品質管理担当責任者は、当法人及び専門要員が、職業倫理に関する規定に含まれる独立性の規定を遵守していることを確認するため、毎年6月30日現在並びに必要となる時点において独立性の保持のための方針及び手続の遵守に関する確認書である倫理委員会研究報告第1号「監査人の独立性チェックリスト」により独立性に対する阻害要因の有無を調査し、提出を求めなければならない。なお、品質管理担当責任者は、当法人の監査対象会社等上記の調査のため必要となる情報を、事前に専門要員に対し通知しなければならない。

(4) 前項の確認書は、書面の形式による。当法人は、独立性を阻害する状況や関係を識別して評価すること、独立性を阻害するような状況や関係が識別された場合には、品質管理担当責任者は、独立性に対する阻害要因を許容可能な水準にまで軽減又は除去するためにセーフガードを適用すること、又は適切であると考えられる場合には監査契約を解除すること。

2.独立性の保持のための方針及び手続に対する違反を識別した場合、これに対する適切な措置を講じるため、以下の事項を行わなければならない。

(1) 専門要員は、独立性に違反した状況に気付いた場合、その旨を速やかに品質管理担当責任者に報告しなければならない。

(2) 品質管理担当責任者は、独立性に違反した状況を識別した場合に、以下の者に速やかに伝達する。

① その違反に対処する必要のある監査責任者及び業務執行責任者

② 独立性に違反し適切な対応を取る必要のある者

(3) 必要な場合、監査責任者及び業務執行責任者と上記(2)②に該当する者は、識別された違反を解決するために講じた措置について、品質管理担当責任者に速やかに伝達する。

なお、上記手続の結果、必要と認めた場合には、品質管理担当責任者は追加的な措置を講じるべきかどうかを決定する。

3.監査責任者は、当法人の定める独立性の保持のための方針及び手続を遵守するとともに、監査チームのメンバーがこれを遵守していることを確かめなければならない。

4.監査責任者は、以下を実施しなければならない。

(1) 独立性を阻害する状況や関係を識別して評価するために、品質管理担当責任者から関連する情報を入手する。

(2) 独立性の保持のための方針及び手続への違反に関する情報を入手した場合、実施する監査業務にとって、当該違反が独立性を阻害する要因となっていないかどうかを判断するために、その情報を検討する。

(3) 独立性を阻害する要因を識別した場合には、これを許容可能な水準にまで軽減又は除去するためにセーフガードを適用する。なお、監査責任者は、適切な対応によっても問題を解決できないときには、品質管理担当責任者に速やかに報告する。

5.当法人が非監査証明業務を受嘱する場合、その業務を担当する者は、監査証明業務と同時に提供することを禁止された非監査証明業務又は自己レビュー等独立性に対する阻害要因が生じる業務に該当しないかどうかを確認するとともに、監査責任者及び品質管理担当責任者に伝達し、事前承認を受けなければならない。

6.監査責任者は、関与した会計期間及び翌会計期間の終了する日までの間は、当該監査対象会社(連結会社等を含む。)の取締役、監査役等に就任してはならない。

 

(職業倫理及び監査の品質の研修)

第10条 専門要員は、日本公認会計士協会の主催する研修に参加するなどして、独立性に関する要求の理解を高めることに努めなければならない。

2.品質管理担当責任者は、専門要員のCPE履修状況を確認するにあたり、専門要員が、CPE協議会が必須研修科目として指定した職業倫理及び監査の品質について、1事業年度のそれぞれ必須単位数を履修していることを確かめなければならない。

 

(主要な担当者の長期間の関与に関する方針及び手続)

第11条 当法人は、監査業務の主要な担当者(監査責任者、審査担当者、監査業務の重要な事項について重要な決定や判断を行うその他の者)の長期間の関与に関して、方針及び手続を以下のように定める。

(1) 大会社等の監査業務については、監査責任者、審査担当者及び該当する場合にはローテーションの対象となるその他の者に対して職業倫理に関する規定で定める一定期間のローテーションを義務付ける。

(2) 監査業務の主要な担当者が長期間に亘って継続して同一の監査業務に従事している場合、独立性を阻害する馴れ合いを許容可能な水準に軽減するためのセーフガードの必要性を決定する。セーフガードの必要性を決定するにあたっては、主要な担当者が同一の監査業務に従事する期間だけでなく、社会的影響の程度も考慮した上で、当法人の方針に従って判断する。

 

第5章 契約の新規の締結及び更新

 

(契約の新規の締結又は更新に関する方針及び手続)

第12条 当法人は、契約の新規の締結又は契約を更新することを合理的に確保するため、契約の新規の締結及び更新の判断に関する方針及び手続を以下のように定める。

(1) 当法人が、時間及び人的資源など、業務を実行するだけの適正及び能力を有していることを確かめる。

(2) 当法人が、関連する職業倫理に関する規定を遵守することができることを確かめる。

(3) 当法人が、関与先の誠実性を検討し、契約の新規の締結や更新に重要な影響を及ぼす事項がないことを確かめる。

(4) 当法人が、新規の関与先と契約の締結を行う場合、既存の関与先と既存の契約を更新するかどうかを判断する場合、及び既存の関与先と新規の契約の締結を検討する場合、それぞれの状況において必要と考えられる情報を入手する。

(5) 新規又は既存の関与先から新規の契約を締結する際に利益相反の可能性が識別された場合、当法人が当該契約を締結することが適切であるかどうかを判断する。

(6) 問題点が識別されたにもかかわらず、当法人が関与先と契約の新規の締結又は更新を行う場合、当法人がその問題点をどのように解決したかを文書化しなければならない。

2.監査責任者は、監査責任者がその意思決定に当初から関与したか否かにかかわらず、契約の新規の締結及び更新が、当法人の定める方針及び手続に従って適切に行われ、その結論が適切であることを判断しなければならない。

 

(関与先の誠実性の検討)

第13条 当法人は、関与先の誠実性を検討する際には、以下の事項を考慮する。

(1) 主な株主、主要な経営者及び監査役等の氏名又は名称並びに事業上の評判

(2) 関与先の事業や商慣行の特質

(3) 会計基準の解釈などに対する関与先に重要な影響力のある株主、経営者及び監査役等の姿勢並びに統制環境に関する情報

(4) 関与先が当法人に対する報酬を過度に低く抑えようとしているか否か

(5) 監査範囲の制約など業務の範囲に対する不適切な制限の兆候

(6) 関与先が資金洗浄又は他の重要な違法行為に関与している兆候

(7) 別の監査事務所を選任する理由及び前任の監査事務所と契約を更新しない理由

(8) 関連当事者の氏名や名称及び事業上の評判

なお、関与先の誠実性に関する理解は、通常、契約を更新していく中で蓄積されていくので、関連する情報を入手した場合には、関与先ごとに情報を整理する。

2.前項の情報は、例えば、以下の方法により入手する。

(1) 関与先に対し職業的専門家としての会計及び監査関連業務を現在又は過去に提供している者等とのコミュニケーション

(2) 当法人内の者、又は金融機関、法律専門家、関与先の同業他社等の第三者に対する質問

(3) 当法人内外のデータベース等を利用した背景調査

 

(適性、能力及び人的資源の検討)

第14条 当法人が契約を新規に締結し、その業務を実施するための適性、能力及び人的資源を有しているかの検討については、その業務で特別に要求される事項、既存の専門要員の構成や特質及び以下の事項の検討も含まれる。

(1) 専門要員が、関与先の属する産業等に関する知識を有しているか。

(2) 専門要員が、関連する規制等に関する経験を有しているか又は必要な技能と知識を習得する能力を有しているか。

(3) 当法人に必要な適性及び能力を有する十分な専門要員が存在しているか。

(4) 必要と認められる場合に専門家を利用できる状況にあるか。

(5) 監査業務に係る審査を実施するための適格性の要件を満たす者が存在しているか。

(6) 当法人は監査報告書の発行予定日までに監査業務を完了することができるか。

 

(契約の更新の判断に与える影響)

第15条 当法人は、契約を更新するか否かを決定する際には、当年度又は過年度における監査業務の実施中に生じた重要な事項と、それらが契約の更新に与える影響を考慮する。

 

(契約の締結を辞退する原因に基づく契約の解除に関する方針及び手続)

第16条 監査責任者は、契約の締結を辞退する原因となるような情報を業務執行社員が契約の締結後に入手した場合、当法人及び監査責任者が必要な対応を講じることができるように、その情報を社員会に、速やかに報告しなければならない。

2.当法人は、契約の新規の締結及び更新に関して、契約の締結を辞退する原因となるような情報を契約の締結後に入手した場合における契約の解除の必要性等に関する検討に係る方針及び手続を以下のように定める。

(1) それぞれの状況で適用される職業的専門家としての責任及び法令上の責任(業務の依頼人等、又は場合によっては規制当局に報告を行う義務があるかどうかを含む。)を考慮する。

(2) 一部又はすべての契約を解除する可能性を考慮する。

(3) 関連する事実と状況に基づき当法人が講じ得る適切な対応について、関与先の経営者及び監査役等と討議すること。

(4) 契約の解除が適切であると判断した場合、当法人はその旨及び理由に関して、関与先の経営者及び監査役等と協議すること。

(5) 契約の解除に関して、職業的専門家としての基準又は適用される法令等を検討すること。

(6) 重要な事項、専門的な見解の問合せの内容、結論及びその結論に至った根拠を文書化すること。

第6章 専門要員の採用、教育・訓練、評価及び選任

 

(人事に関する方針及び手続)

第17条 当法人は、職業的専門家としての基準及び適用される法令等に準拠して業務を実施すること及び、当法人又は業務執行社員が状況に応じた適切な監査報告書を発行できるようにすることを達成するために必要とされる適性、能力及び経験並びに求められる職業倫理を備えた十分な専門要員を合理的に確保するために、採用、教育・訓練、評価及び選任等の人事に関する以下の方針及び手続を定める。

(1) 採用

(2) 適性及び能力(業務を実施するだけの時間の確保を含む)

(3) 実務経験を通じた能力開発

(4) 評価、報酬及び昇進

(5) 専門要員の必要数の予測

 

(専門要員の採用)

第18条 専門要員を採用する場合には、採用予定者から履歴書を入手して、社員会、必要に応じて、その他の専門要員も参加して、採用予定者と面接を行い、監査に関する必要な知識があり、かつ品質管理規程を遵守し、監査業務を積極的に行う意欲のある者を採用する。

2.当法人は、専門要員の採用の手続を効果的に定め、当法人の業務の遂行に必要な適性及び能力を有し、適切な資質をもった誠実な人材を採用することに配慮する。

 

(専門要員の能力及び適性)

第19条 当法人は、継続的な職業的専門家としての能力開発を適切に行う必要があることを認識し、専門要員の能力及び適性を高めるため以下の方法を採用する。

(1) 職業的専門家としての研修(日本公認会計士協会の主催する研修等)

(2) 継続的な職業的専門家としての能力開発

(3) 実務経験

(4) 監査チームの他のメンバーなど、より経験を積んだ専門職員などによる指導

(5) 独立性に関する教育

2.当法人は、専門要員に必要とされる適性や能力を維持し開発するために、すべての専門要員が継続的な研修を受けることの必要性を強調し、必要な研修の機会を提供する。

3.すべての専門要員は、継続的専門研修制度に関する規則第6条で定める必要な単位数を履修しなければならず、毎年、日本公認会計士協会発行のCPE履修結果通知書の写しを、品質管理担当責任者に提出しなければならない。品質管理担当責任者は、専門要員のCPE履修状況を検討し、履修単位不足が判明した場合には、該当する者が速やかに不足の単位数を履修するまで、監査業務に従事することを制限する等の措置をとる。

 

(専門要員の評価、報酬及び昇進)

第20条 当法人は、専門要員が能力を高め維持すること及び職業倫理(独立性を含む。)を遵守することを正当に評価し、十分にこれに報いるため以下の事項を実施する。

(1) 監査業務の実施及び職業倫理(独立性を含む。)に関する当法人の定める方針及び手続をすべての専門要員に理解させること

(2) 専門要員に対して監査業務の実施、能力の向上及び実務経験を通じた能力開発に関して、評価及び助言相談を実施すること

(3) 昇進には、実施した監査業務の品質や職業倫理(独立性を含む。)の遵守状況を特に考慮すること

(4) 当法人の方針及び手続を遵守しなければ処分を受けることもあり得ることを専門要員に理解させること

2.当法人では、社員会が、前項に留意して、専門要員の評価を行い、報酬及び昇進を決定する。

 

(監査チームの選任)

第21条 当法人は、監査責任者の選任に関して以下の事項を実施する。

(1) 監査責任者の氏名と職責を関与先の経営者及び監査役等に伝達すること

(2) 監査責任者が、その職責を果たすための適切な適性、能力、及び権限を有し、十分な時間を確保できることを確かめること

(3) 監査責任者は職業倫理(独立性を含む。)を遵守して監査業務を実施できることを確かめること

(4) 監査責任者の責任が明確に定められ、各監査責任者に伝達されること

2.社員会は、監査責任者が各自の責任を適切に果たすために十分な時間を確保することができるように、監査責任者の業務量及び時間的余裕の程度を把握する。

3.当法人は、職業的専門家としての基準及び適用される法令等に準拠して監査業務を実施し、状況に応じた適切な監査報告書を発行することを可能にするために必要とされる能力及び適性を有する専門要員それぞれの監査業務に選任する。

4.当法人は、監査チームのメンバーの選任と必要とされる監督の程度の決定において、監査チームのメンバーについて以下の事項を検討する。

(1) 業務の内容と複雑さの程度が類似した監査業務への従事及び適切な訓練を通じて得られた監査業務の理解の程度並びにこれまでの実務経験

(2) 職業的専門家としての基準及び適用される法令等に対する理解度

(3) ITの知識及び会計又は監査の特定の領域を含む適切な専門的知識

(4) 関与先が属する産業に関する知識

(5) 職業的専門家としての判断能力

(6) 当法人の定める品質管理に関する方針及び手続についての理解

なお、これらの事項は専門要員を監督する場合にも考慮する。

5.監査責任者は、職業的専門家としての基準及び適用される法令等に従って監査業務を実施し、適切な監査報告書の発行を可能とするために、監査チームと監査人が業務を依頼する外部の専門家が全体として適切な適性及び能力を有していることを確かめなければならない。

第7章 業務の実施

 

(監査業務の実施に関する方針及び手続)

第22条 当法人は、監査業務の質を合理的に確保するために、日本公認会計士協会から公表された監査基準委員会報告書、監査・保証実務委員会等の委員会報告や実務指針に準拠し、研究報告等を参考として、監査業務の実施に関する方針及び手続を監査マニュアルとして定める。当該方針及び手続には、監査の実施、監査チームへの指示、監督及び査閲の方法、監査調書としての記録及び保存の方法等を含める。

当法人は、以下の事項を含めた方針及び手続きを通じて業務の実施における品質の保持を図る。

(1) 監査責任者は、監査チームが自らの作業の目的を理解するために監査業務の概要を把握するための具体的な方法を指示する。

(2) 職業的専門家としての基準及び適用される法令等を理解し、遵守するための手続を示す。

(3) 監査計画の策定方法については、日本公認会計士協会から公表された監査基準委員会報告書や研究報告等に示された調書様式を参考とする。

(4) 監査責任者は、監査作業の現場において監査チームのメンバーに対して常時必要に応じて指示を与え、適時に監査調書を査閲し、必要と認める場合、追加手続を指示する。

(5) 監査責任者は、監査チームの経験の浅いメンバーが、割り当てられた作業の目的を的確に理解できるよう、チームワークを適切に図り、訓練を適切に実施する。

(6) 実施した作業に関する適切な監査調書が作成され、査閲の時期と範囲に関して適切に記録されていることを確認する。

(7) 重要事項の検討の結果、発行される監査報告書の様式を検討する。

(8) 監査責任者は、原則としてすべての監査チームのメンバーの作成した監査調書を適時に査閲する。ただし、必要と認めた場合には、経験のある監査チームのメンバーに、経験の浅い監査チームのメンバーの作成した監査調書の査閲を委任することができる。いずれの場合においても、業務執行社員は、すべての監査調書が査閲されていることを監査現場終了前に再確認する。

(9) 社員会で決定した社員である品質管理担当責任者は、監査業務の実施に関するすべての方針及び手続を適宜更新し、監査の品質管理規程や監査マニュアル等に反映する。

2.監査責任者は、職業的専門家としての基準及び適用される法令等に準拠して監査業務を実施すること並びに状況に応じた適切な監査報告書を発行することに対する責任を負う。そのため、業務執行社員は、監査業務の実施に関する方針及び手続を遵守し、監査チームのメンバーに対し適切な指示及び監督を行い、査閲により監査調書が適切に作成されていることを確かめなければならない。

 

(指示)

第23条 当法人は、監査現場開始前に監査チーム会議を開き、また、適宜、監査の実施過程において、以下の事項を含む指示を行う。

(1) 関連する職業倫理に関する規定を遵守するとともに、監査基準委員会報告書200「財務諸表監査における総括的な目的」第14項が要求する職業的専門家としての懐疑心を保持して監査を計画し実施することを含む、監査チームのメンバーのそれぞれの責任

(2) 一つの監査に複数の監査責任者が関与している場合の各監査責任者の責任

(3) 実施すべき作業の目的

(4) 企業の事業内容

(5) 監査リスクに関連する事項

(6) 潜在的な問題点

(7) 監査業務の実施に当たっての詳細なアプローチの内容

2.監査責任者は、監査チームのメンバー間の討議を推奨する。監査チームのメンバー間で討議を行うことによって、経験の浅いメンバーがより経験のあるメンバーに適宜質問を行うことを奨励しなければならない。これによって、適切なコミュニケーションが監査チーム内で行われる。

 

(指導、監督及び実施)

第24条 監査チームの経験の浅いメンバーが割り当てられた作業の目的を的確に理解するためには、チームワークを適切に図り、訓練を適切に実施することが必要であり、業務執行社員は、原則として、監査現場に赴き、必要に応じて、監査チームのメンバーの指導を行うか、より経験のある監査チームのメンバーに経験の浅い監査チームのメンバーを指導することを指示する。

2.監査業務の監督には、以下の事項を含む。

(1) 監査の進捗状況を把握すること

(2) 監査チームの個々のメンバーの適性、能力及び経験、個々のメンバーがそれぞれの作業を実施するのに十分な時間が確保されているかどうか、個々のメンバーが各自に与えられた指示を理解しているかどうか、並びに作業が監査計画に従って実施されているかどうかについて検討すること

(3) 監査業務の実施中に発生した重要な事項を取り上げ、当該事項の重要性の程度を検討し、監査計画を適切に修正すること

(4) 専門的な見解の問合せが必要な事項又はより経験のある監査チームのメンバーが検討を必要とする事項を特定すること

 

(監査調書の査閲を行う場合の考慮事項)

第25条 より経験のある監査チームのメンバーは、経験の浅い監査チームのメンバーが作成する監査調書を査閲する責任を負う。監査調書の査閲を行う場合には、以下の事項を考慮する。

(1) 職業的専門家としての基準及び適用される法令等に従って作業を行っているかどうか。

(2) より経験のある監査チームのメンバーによる検討を要する事項が取り上げられているかどうか。

(3) 専門的な見解の問合せを適切に実施しており、その結論を文書化し、かつ対処しているかどうか。

(4) 監査手続の種類、時期及び範囲を変更する必要があるかどうか。

(5) 到達した結論は、実施した作業によって裏付けられているか、また、それが適切に監査調書に記載されているかどうか。

(6) 入手した監査証拠は、監査意見を裏付けるものとして十分かつ適切であるかどうか。

(7) 監査手続の目的は達成されているかどうか。

2.監査責任者は、当法人の監査調書の査閲に関する方針及び手続に従って実施される査閲に対する責任を負わなければならない。

3.監査責任者は、監査報告書の日以前に、監査調書の査閲及び監査チームとの討議を通じて、十分かつ適切な監査証拠が入手されていることを確かめなければならない。

4.監査責任者は、監査の実施中の適切な段階で適時に以下のような事項に関する監査調書を査閲することによって、監査報告書日前に、重要な事項を監査責任者が納得できるように適時に解決することが可能となる。

・監査上の判断を要する重要な領域、特に、監査の実施中に識別した専門的な見解の問合せが必要な事項に関連する領域

・特別な検討を必要とするリスク

・監査責任者が重要と認識するその他の領域

監査責任者は、すべての監査調書を査閲する必要はないが、査閲した監査調書にサインを記入するなどの方法により査閲の対象と実施の時期を記録する。

5.監査の実施中に、当法人内で監査責任者の交代が行われた場合には、後任の監査責任者は交代日までに実施された作業に関する監査調書の査閲を実施する。

 

(専門的な見解の問合せ)

第26条 当法人は、専門的な見解の問合せに関する方針及び手続を以下のように定める。

(1) 専門性が高く、判断に困難が伴う重要な事項や見解が定まっていない事項に関して、適切に専門的な見解の問合せを実施すること

(2) 専門的な見解の問合せが適切に実施されるように、当法人内外において、十分な人材等を確保すること

(3) 専門的な見解の問合せから得られた見解に対処すること

(4) 専門的な見解の問合せの内容、得られた見解を文書化し、専門的な見解の問合せの依頼者と助言者が同意すること

2.専門的な見解の問合せは、当法人内外の専門的な知識及び経験等を有する者との討議などを通じて行われることがある。

3.監査チームのメンバーは、判断に困難が伴う重要な事項や見解が定まっておらず判断が難しい重要な事項に直面した場合には、速やかに業務執行社員に報告しなければならない。業務執行社員は、報告された事項を、必要な場合には、監査チームの他のメンバーとも討議して検討する。当該事項を審査担当者に事前に相談し、必要あるときは、日本公認会計士協会の相談窓口や担当部署等に問合せ、入手した見解を検討する。

4.専門的な見解の問合せを行う場合には、専門的、倫理的又はその他の事項に関する適切な見解を得ることができるように、十分に関連する事実が含まれているか、事前に十分な検討を行う。

5.専門的な見解の問合せは、以下の事項を理解することができるように、監査調書に十分かつ詳細に記述し、必要に応じ、依頼者と助言者の双方が確認する。

(1) 専門的な見解の問合せを行った事項の内容

(2) 専門的な問合せの結果、当該事項に関して行った判断とその根拠、得られた結論及びその対処

6.監査責任者は、専門的な見解の問合せに関して、以下の事項を行わなければならない。

(1) 専門性が高く、判断に困難が伴う事項や見解が定まっていない事項に関して、監査チームが専門的な見解の問合せを適切に実施する責任を負うこと。

(2) 監査チーム内、及び監査チームと当法人内外の適切な者との間で、監査チームのメンバーが監査の期間中に専門的な見解の問合せを適切に実施したことを確かめる。

(3) 専門的な見解の問合せの内容及び範囲並びに得られた見解に、助言者が同意していることを確かめること。

(4) 専門的な見解の問合せから得られた見解に対処していることを確かめる。

 

(監査上の判断の相違)

第27条 当法人は、監査チーム内、監査チームと専門的な見解の問合せの助言者との間、又は、監査責任者と審査担当者との間の監査上の判断の相違を解決するための方針及び手続を以下のように定める。

(1) 専門的な見解の問合せを行った者は、監査上の判断の相違に関して到達した結論及びその対処について、適切に文書化しなければならない。

(2) 監査報告書は、監査上の判断の相違が解決しない限り、発行してはならない。

2.監査チームは、監査チーム内、監査チームと専門的な見解の問合せの助言者との間又は該当する場合、監査責任者と監査業務に係る審査担当者との間の監査上の判断の相違が生じた場合には、速やかに監査責任者に報告する。監査責任者は、報告された内容を検討し、監査上の判断の相違を解決するための適切な措置をとる。

3.監査チームのメンバーは、監査上の判断の相違の生じるおそれのある事項を認識した場合には、速やかに、監査責任者に報告するとともに、適時に、監査責任者は審査担当者に事前相談を行い、審査担当者と監査上の判断の相違が生じないように努める。

4.監査責任者と審査担当者との間の監査上の判断の相違が解決できない場合には、社員会は、他の監査事務所等に専門的な見解の問合せを行い、監査上の判断の相違を解決する。

5.監査責任者は、監査上の判断の相違が生じた事項やそれが十分に予測される事項に関して、監査チームのメンバーが監査責任者又は当法人内の他の適切な者に報告することができ、これによって不当な取扱いを受けることはないということを適時に監査チームのメンバーに伝達する。

 

第8章 審査

 

(審査に関する方針及び手続)

第28条 当法人は、審査を行う機構を設け、すべての監査業務について監査計画並びに監査意見形成のための監査業務に係る審査(以下、本章において「審査」という。)を行う。監査計画の審査とは、監査チームが監査意見表明に至る過程において監査計画の策定及びその修正に関して行うものであり、監査意見の審査とは、監査チームが行った監査手続、監査上の判断及び監査意見の形成を客観的に評価するために行うものであり、以下のとおり方針及び手続を定める。

(1) 審査の内容、実施時期及び範囲

(2) 審査担当者の適格性

(3) 審査に関する文書化

2.当法人は、審査が完了するまで監査報告書を発行しない方針であり、監査報告書の日付は、審査完了日以降とする。

3.監査責任者は、審査に関して、以下の事項を行わなければならない。

(1) 審査担当者が選任されていることを確かめる。

(2) 監査の実施中に発生した重要な事項(審査において識別された事項を含む。)について審査担当者と討議する。

(3) 審査が完了するまで監査報告書を発行しない。

 

(審査の内容、実施時期及び範囲)

第29条 審査は、通常、監査責任者等との討議及び財務諸表とその監査報告書の検討(特に監査意見についての十分な検討)により行われる。また、審査には、監査チームが行った重要な判断や監査意見を裏付けるものとして必要と認める監査調書の検討が含まれる。審査の範囲は、監査業務の複雑性及び不適切な監査報告書が発行されるリスクの程度を考慮する。なお、審査は、業務執行社員の責任を軽減するものではない。

2.審査においては、以下の事項を検討する。

(1) 独立性に関する監査チームの評価

(2) 重要な判断に関する監査調書には、実施した手続とその結論が適切に記載されているかどうか

(3) 監査の実施中に識別された特別な検討を必要とするリスク及び当該リスクに対する対応

(4) 監査上の判断の相違に関して到達した結論及びその対処

(5) 専門性が高く判断に困難が伴う事項や見解が定まっていない事項について適切な専門的な見解の問合せが行われたかどうか、及び専門的な見解の問合せから得られた結論

(6) 審査のために選定した監査調書は、重要な判断に関して実施した監査手続とその結論が適切に記載されており、監査意見の形成を裏付けるものであること

(7) 財務諸表(案)

(8) 発行する監査報告書が適切であること

3.前項に記載されている事項に加えて、監査チームが行った重要な判断について、大会社等の監査の審査において検討され評価される事項には、以下の事項が含まれることがある。

(1) 監査基準委員会報告書315「企業および企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示リスクの識別と評価」に準拠して監査中に識別された特別な検討を必要とするリスク、同330「評価したリスクに対応する監査人の手続」に準拠した当該リスクに対する対応、及び同240「財務諸表監査における不正」に準拠した監査チームの不正リスクの評価と対応

(2) 監査の基本的な方針と詳細な監査計画の内容(監査期間中に行われた重要な修正を含む。)

(3) 監査上の判断、特に監査上の重要性及び特別な検討を必要とするリスクに関して行った判断

(4) 監査の実施中に識別した修正された又は未修正の虚偽の表示に関する重要性の判断及びその対処

(5) 経営者及び監査役等(該当する場合、規制当局などの第三者も含む。)に伝達する事項

これらの事項は、状況に応じて、大会社等以外の財務諸表監査の審査にも適用されることがある。

4.審査担当者は、監査チームが行った重要な判断や監査意見を客観的に評価しなければならない。この評価には、以下の事項を含める。

(1) 重要な事項についての監査責任者との討議

(2) 財務諸表と監査報告書案の検討

(3) 監査チームが行った重要な判断とその結論に関する監査調書の検討

(4) 監査意見の評価及び監査報告書案が適切であるかどうかの検討

5.大会社等以外の審査では、監査業務の品質が合理的に確保される範囲において、以下の事項を考慮して、審査の方法、内容、時期及び範囲を簡素化又は柔軟に実施することができる。

(1) 監査業務の目的や内容(社会的影響の程度を含む。)

(2) 個々の監査業務において識別した通例でない環境又はリスクの重要性

6.審査担当者が改善勧告を行ったにもかかわらず監査責任者がこれを受け入れず、当該勧告事項に対して審査担当者が満足するような解決が図られない重要な事項が存在する場合、監査上の判断の相違に関する方針及び手続である、他の専門家に見解の問合せを行い、必要な場合には他の公認会計士又は監査法人に委託審査を依頼し、監査責任者と審査担当者の監査上の判断の相違が解決されるまで監査報告書を発行してはならない。

 

(審査担当者の適格性)

第30条 当法人は、審査担当者の選任に当たり、以下の事項を考慮して審査担当者の適格性を検討する。

(1) 必要な知識、経験、能力、職位等の当該監査業務の審査を行うために必要とされる資格

(2) 審査担当者が客観性を損なうことなく業務に関して専門的な見解の問合せの助言を行うことができる程度

(3) 審査担当者に対し職業倫理に関する規定で要求される独立性

なお、当法人は、毎年審査開始前に審査担当者から別途定める独立性チェックリストを入手する。

2.審査担当者は、業務執行社員として審査対象監査業務を担当できる程度の十分かつ適切な経験と権限を有する者であることが必要であり、当法人の社員であり、かつ公認会計士の資格取得後、5年以上の監査実務経験を有する者を審査担当者として選任する。

3.当法人は、審査担当者を選任するに当たり、当該担当者と下記事項を確認する。

(1) 審査担当者の職務

(2) 審査担当者の責任

(3) 審査担当者の守秘義務

(4) 審査の方法

 

(審査担当者の客観性)

第31条 当法人は、審査担当者の客観性が維持されるように、審査担当者に関して以下の事項を定める。

(1) 実質的に不可能な場合を除いて、監査責任者が審査担当者を指名しないこと

(2) 審査の担当期間においてその業務に従事しないこと

(3) 監査チームに代わって意思決定を行わないこと

(4) 審査担当者の客観性を阻害するような他の要因を有しないこと

2.監査責任者は、監査業務の実施中に、審査担当者に専門的な見解の問合せを行うことができる。そのような専門的な見解の問合せは、審査担当者の客観性を阻害する要因となるものではない。しかし、審査担当者に専門的な見解の問合せの内容と範囲が重要な場合には、監査チーム及び審査担当者の双方が審査担当者の客観性を維持できるよう配慮しない限り、客観性を損ねるおそれがある。審査担当者の客観性を維持することが困難な場合には、監査事務所内の別の者又は、監査事務所外の適格者を、審査担当者かその業務の専門的な見解の問合せの助言者のいずれかの職務を行うために選任することがある。

 

(審査の記録及び保存)

第32条 審査に関して以下の事項を監査調書として記録及び保存しなければならない。

(1) 審査に係る当法人の定める方針で求められる手続が実施されたこと

(2) 監査報告書の日付以前に審査が完了したこと

(3) 審査担当者が、監査チームが行った監査上の重要な判断とその結論が適切でないと判断した事項がなかったこと

2.審査の完了は、審査担当者が本規程の第29条第2項から第4項までの要求事項を完了していること、さらに該当する場合には第27条第1項を遵守していることを意味する。審査の文書化は、監査ファイルの最終的な整理の一環として、監査報告書日後に完了することもできる。

 

第9章 監査調書

 

(監査ファイルの最終的な整理)

第33条 当法人は、監査報告書日後、監査ファイルの最終的な整理を完了するため、監査ファイルの最終的な整理に関する方針及び手続を以下のように定める。

(1) 監査ファイルは、原則として、監査報告書ごとにまとめる。ただし、実施した作業の関連性から、金融商品取引法に基づく監査と会社法に基づく監査の監査調書や、連結財務諸表に関する監査と個別財務諸表に関する監査の監査調書を一つの監査ファイルとしてまとめることができる。

(2) 監査ファイルの最終的な整理を完了する期限は、監査報告書日(監査ファイルに複数の監査報告書が含まれる場合には、いずれか遅い監査報告書日)から、60日以内とする。

 

(監査調書の管理)

第34条 当法人は、監査調書の管理に関する方針及び手続を以下のように定める。

(1) 当法人は、監査調書に関し、機密性、保管の安全性、情報の完全性、アクセス可能性及び検索可能性を合理的に確保しなければならない。

(2) 監査チームは、業務上知り得た事項を正当な理由なく他に漏らし、又は盗用してはならない。したがって、監査調書に記録された秘密の保持のため、正当な理由なく監査調書の全部又は一部を他に示してはならない。また、特に個人情報を保護することに関連する法令等に留意する。

(3) 監査調書は、手続に従わない追加、変更や削除により、又は媒体の消失や破損により、監査調書を構成する情報の完全性、アクセス可能性及び検索可能性が、阻害されることがある。このため、当法人は、以下の事項を実施する。

① 監査調書の作成、変更又は査閲の履歴を明確にすること

② 監査計画や監査の実施などの各段階において情報を保全すること。監査調書となり得るような情報を監査チーム内で共有している場合や企業等とインターネット経由でやりとりしている場合は、特に留意する。

③ 監査チームに対する権限のない変更等を防止すること

④ 監査チームとその他の権限を有する者に対し、必要性に応じた監査調書へのアクセスの権限を付与すること

(4) 当法人は、監査調書に関し、機密性、保管の安全性、情報の完全性、アクセス可能性及び検索可能性を合理的に確保するため、監査業務開始時における監査チームのメンバーへの監査調書の配付、監査業務実施中の監査調書の管理及び監査業務終了時の監査調書の整理を適切に実施する。

 

(監査調書の保存及び廃棄)

第35条 当法人は、監査調書の保存及び廃棄に関する方針及び手続を以下のように定める。

(1) 監査調書は10年間保存することとし、監査ファイルの最終的な整理が完了した後、その保存期間が終了するまでは、いかなる監査調書であっても、削除又は廃棄してはならない。保存年限が到来した監査調書は、被監査会社のリスク等を勘案の上、業務執行社員は、品質管理担当責任者の承認を得て、廃棄するか、保存年限を延長するかを決定する。

(2) 当法人は、監査調書の保存に関する方針及び手続を以下のように定める。

① 監査ファイルの最終的な整理の完了後における監査調書の変更又は追加の履歴を明確にすること

② 品質管理レビューやその他の目的で、当法人外の権限を有する者が監査調書を閲覧できるようにすること

(3) 監査調書は、当法人の品質管理規程に定める期間を保有した後は、保存期限を延長したものを除き、品質管理担当責任者の承認を得て、速やかに廃棄手続をとる。

 

(監査調書の所有権)

第36条 監査調書は、当法人の所有に属する。

 

 

第10章 品質管理のシステムの監視

 

(品質管理のシステムの監視に関するプロセス)

第37条 当法人は、品質管理のシステムに関するそれぞれの方針及び手続が適切かつ十分であるとともに、有効に運用されていることを合理的に確保するために、品質管理のシステムの監視(以下「監視という。」)に関するプロセスを定める。

2.上記プロセスには、品質管理のシステムに関する日常的監視(以下「日常的監視」という。)及び評価を含める。評価には、監査責任者ごとに少なくとも一定期間ごとに1つの完了した監査業務の定期的な検証(以下「定期的な検証」という。)に関する方針及び手続を含める。

3.監査責任者は、社員会から伝達された、品質管理のシステムの監視の結果に関する最新の情報、及び当該情報で指摘された不備が担当する監査業務に影響を与えることがあるかどうかを考慮しなければならない。

 

(監視を行う目的)

第38条 品質管理の方針及び手続の遵守に関して品質管理のシステムの監視を行う目的は、以下の評価を行うことにある。

(1) 職業的専門家としての基準及び適用される法令等が遵守されているかどうか。

(2) 品質管理のシステムが適切に整備され有効に運用されているかどうか。

(3) 品質管理の方針及び手続が適切に遵守されており、発行する監査報告書が状況に応じて適切であるかどうか。

2.監視は、品質管理のシステムの整備状況の適切性と運用状況の有効性の双方について実施される。

 

(品質管理のシステムの監視を行う担当者)

第39条 当法人は、監視のうち、定期的な検証を行う担当者を選任する場合には、その監査業務の実施及び審査に関与しない者を選任することとする。また、選任された者に対して、当法人の方針及び手続に従って、監視を行うことを求める。

2.当法人は、監視の責任者として十分かつ適切な経験と権限を有する者を監視を行う担当者として選任する。なお、品質管理担当責任者との兼務は可とする。

 

(日常的監視)

第40条 当法人は、日常的監視に以下の事項の検討を含める。

(1) 新たに公表された職業的専門家としての基準及び適用される法令等と当法人が定める品質管理のシステムへの反映の状況

(2) 独立性の保持のための方針及び手続への遵守についての確認書

(3) 訓練を含む継続的な職業的専門家としての能力開発状況

(4) 契約の新規の締結及び更新状況

(5) 実施すべき是正措置と品質管理のシステムの改善の決定(教育・訓練に関する方針及び手続への反映を含む。)状況

(6) 品質管理のシステムの理解又は遵守の程度について発見された不備に関する当法人内の適切な専門要員への伝達状況

(7) 品質管理の方針及び手続に必要な修正を速やかに行うための当法人内の適切な専門要員によるフォローアップ状況

 

(監査業務の定期的な検証)

第41条 当法人は、定期的な検証を、循環的に実施する。検証のサイクルは、通常3年を超えない期間とし、一つの検証のサイクルの中で、一人の業務執行社員に対して少なくとも一つの監査業務を検証の対象として選定する。

2.当法人は、検証のサイクル及び個別の監査業務の選定時期を計画する際には、以下の要因を考慮する。

(1) 過去における監視の実施結果

(2) 専門要員が有する権限の範囲

(3) 監査業務の特質又は複雑性

(4) 当法人の関与先や特定の監査業務に関連するリスク

3.定期的な検証のプロセスには、個別の監査業務の選定を含むが、一部の監査業務については、必要と認める場合、監査チームへの事前の通知を行わずに選定することがある。

4.日本公認会計士協会の品質管理レビューを、当法人が実施すべき監視の代替とはしない。

 

(識別した不備の影響の評価)

第42条 品質管理担当責任者は、日常的監視及び定期的な検証によって発見された不備の影響を評価し、これが以下のいずれかの場合に該当するかを判断する。

(1) 監査業務が職業的専門家としての基準及び適用される法令等を遵守して実施され、かつ、発行する監査報告書が適切であることを合理的に確保する上で、品質管理のシステムが不十分であることを必ずしも示していない。

(2) 速やかな是正措置が必要な、組織的、反復的又はその他の重要な不備。

なお、上記(2)に該当する事項が判明した場合には、品質管理担当責任者は、改善を要する事項を検討し、適切な措置をとる。

2.品質管理担当責任者は、業務執行社員並びに他の適切な者に対して、発見された不備とこれに対する適切な是正措置を伝達しなければならない。

3.当法人は、発見された不備に対する適切な是正措置には、以下のうち一つ又は複数の事項を含める。

(1) 関係する監査業務又は専門要員に対する適切な是正措置の実施

(2) 訓練や職業的専門家としての能力開発に関する責任者への発見事項の伝達

(3) 品質管理の方針及び手続の変更

(4) 当法人の方針及び手続に違反する者、特にそれを繰り返す者に対する懲戒処分

4.品質管理のシステムの監視の結果、不適切な監査報告書が発行されたおそれがある場合、又は業務の実施の過程で必要な監査手続が省略されたおそれがある場合、品質管理担当責任者は、職業的専門家としての基準及び適用される法令等を遵守するためにはどのような追加的な対応が適切かを決定する。また品質管理担当責任者は、必要と認める場合適切な法律専門家に助言を求めることも検討する。

 

(監視結果の伝達)

第43条 品質管理担当責任者は、少なくとも年に一度、品質管理のシステムの監視の結果を、監査責任者及び社員会に伝達しなければならない。

2.伝達の内容には、以下の事項を含め、発見された事実の具体的状態と、必要とされる改善措置とその実施時期を明示し、業務執行社員等は、それぞれの権限と責任に応じて、迅速かつ適切な対応を図り、求められた改善措置を適時に実施しなければならない。

(1) 実施した品質管理のシステムの監視の内容

(2) 品質管理のシステムの監視から得られた結論

(3) 組織的、反復的又はその他の重要な不備が発見された場合には、その内容とそれに対処するために講じられた是正措置

3.監査責任者以外の者に対して前項の伝達を実施する場合には、通常、具体的な監査業務を特定できるような事項を含めない。ただし、関連する監査責任者以外の者が適切にその責任を果たしていたことを明確にする上で必要と認められる場合にはこの限りではない。

 

(文書化)

第44条 品質管理担当責任者は、品質管理のシステムの監視に関する事項を適切に文書化しなければならない。

(1) 定期的な検証の対象となる監査業務の選定を含む品質管理のシステムの監視の手続の内容

(2) 以下の事項に関する評価の記録

① 職業的専門家としての基準及び適用される法令等に準拠しているかどうか。

② 品質管理のシステムが適切に整備され有効に運用されているかどうか。

③ 当法人又は監査責任者が状況に応じて適切な監査報告書を発行することができるように、当法人の品質管理に関する方針及び手続が適切に運用されているかどうか。

(3) 識別された不備の内容、その影響の評価、及び追加的な対応策の必要性やその根拠

 

第11章 不服と疑義の申立て

 

(不服と疑義の申立てに関する方針及び手続)

第45条 当法人は、以下の事項に関して、当法人内外からもたらされる情報に適切に対処することを合理的に確保するために、不服と疑義の申立てに関する方針及び手続を定める。この方針及び手続の一部として、当法人は、専門要員が不当な取扱いを受けることなく不服と疑義の申立てを行うことができるように、明確に定められた内部通報等の制度を定める。

(1) 当法人が実施した業務における職業的専門家としての基準及び適用される法令等の違反に関する不服と疑義の申立て

(2) 当法人が定めた品質管理のシステムへの抵触等に関する疑義の申立て

(3) 個々の監査業務の遂行への不当な干渉に対する疑義の申立て

2.専門要員は、前項に記載された事項に該当する事項を発見した場合には、いつでも社員会に報告することができる。また、関与先又はその他の第三者から不服と疑義の申立てを受けた者は、速やかに、社員会に報告しなければならない。

3.品質管理担当責任者は、不服と疑義の申立てがあった場合には、その内容を吟味し、関連する監査チームへの質問、必要と認める場合には、関連する書類等を閲覧して、不服と疑義の申立てを調査する。当該調査は、調査の対象となった監査業務に従事していない者の管理下で行うこととし、必要に応じて法律専門家を関与させる。また、関連する業務に関与していない者を管理者として指名することが実務上困難な場合には、不服と疑義の申立ての調査を実施するために、監査事務所外の適格者又は他の監査事務所を利用する。

4.不服と疑義の申立て及びその対応は、必要に応じ、適切に文書化する。

5.不服と疑義の申立ての調査において、品質管理の方針及び手続の整備及び運用に関する不備が発見された場合、又は一人若しくは複数の者が品質管理のシステムに準拠していないことが発見された場合には、品質管理担当責任者は、第42条第3項に記載している適切な是正措置を講じなければならない。

 

第12章 監査事務所間の引継

 

(監査事務所間の引継に関する方針及び手続)

第46条 当法人は、監査人の交代に際して、前任の監査事務所となる場合及び後任の監査事務所となる場合の双方について監査業務の引継が適切に行われることを合理的に確保するために、監査人の交代に関する監査業務の引継について、以下の方針及び手続を定める。

(1) 当法人は、監査人の交代に関する監査業務の引継についての方針及び手続として、本規程第5章の記載に留意するとともに、監査基準委員会報告書900「監査人の交代」に準拠するものとする。

(2) 品質管理担当責任者は、監査人の交代に際して前任の監査事務所となる場合及び後任の監査事務所となる場合の双方についての監査業務の引継に関して、当該監査業務の引継が、(1)に記載した当法人の方針及び手続に準拠して行われているかどうかを確かめなければならない。

(3) 当法人が後任監査人となる場合で、監査業務の引継を行う時点で、業務執行社員がまだ決まっていない場合には、品質管理担当責任者は、その引継を実施する責任者を選任する。

2.監査責任者は、当法人の方針及び手続に準拠して引継を行わなければならない。また、監査人の交代に関する監査業務の引継において専門職員を使用する場合には、監査チームが必要な能力、適性及び独立性を保持していること確かめるとともに、十分な時間を確保できていることを確かめなければならない。

 

 

第13章 共同監査

 

(共同監査に関する方針及び手続)

第47条 当法人は、共同監査の監査業務の質を合理的に確保するために共同監査に関する以下の方針及び手続を定める。当法人は、共同監査を行う他の監査事務所の品質管理のシステムが当該監査業務の質を合理的に確保するものであるかどうかを、当法人が、監査契約の新規の締結及び更新の際、並びに、必要に応じて監査業務の実施の過程において確かめる。

(1) 共同監査契約の新規の締結及び更新の承認手続

共同監査契約の新規の締結及び更新の承認は、社員会が行い、共同監査に関する協定書を作成する。

(2) 各々の監査事務所相互間の監査業務の分担方法

共同監査に関する協定書で定める。

(3) 監査調書の相互査閲及び監査業務内容の評価の方法

共同監査に関する協定書で定める。

(4) 審査に関する事項

共同監査に関する協定書で定める。

(5) 各々の監査事務所相互間で取り交わすべき書類

共同監査に関する協定書で定める。

(6) 他の監査事務所の品質管理のシステムに関して確認した内容及び結論の記録及び保存

2.監査責任者は、他の監査事務所が当該監査業務に関して監査基準委員会報告書220「監査業務における品質管理」の第8項から第22項に準拠した方針及び手続を実施しているかどうかについて、監査契約の新規の締結及び更新の際、並びに、必要に応じて監査業務の実施過程において他の監査事務所の監査責任者に確かめなければならない。また、業務執行社員は、他の監査事務所の品質管理のシステムに関して確認した内容及び結論を監査調書に記録し、監査調書に含めて保存する。

 

第14章 中間監査への準用

 

(中間監査への準用)

第48条 本規程は、中間監査においても準用する。

なお、中間監査に関する監査調書の監査ファイルについては、監査基準委員会報告書910「中間監査」第30項に従って、年度監査の監査ファイルとは別の監査ファイルとする。

 

第15章 四半期レビューへの準用

 

(四半期レビューへの準用)

第49条 本規程は、四半期レビューにおいても準用する。

なお、四半期レビューに係る審査のうち計画審査については、原則として四半期レビュー業務の着手までに実施するが、対象業務のリスク等に応じて実施時期を遅らすことができる。ただし、遅くとも結論審査の前に実施するものとする。

また、四半期レビューに関する監査調書の監査ファイルについては、年度監査の監査ファイルとは別の監査ファイルとする。

 

第16章 規程の改廃

 

(改廃)

第50条 本規程の改廃は、品質管理担当責任者が立案し、社員会が決定する。

 

(附則)

本規程は、平成26年4月21日より適用する。

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