最近の開示業務の仕組みは、IT化が進み、省力化が図られています。
私の言葉でざっと列挙しても、以下のような点が挙げられます。
- (大手2社の)印刷会社が、決算前に、講習会やセミナーを開催している。
- 決算短信と有報の一連の作業を想定した、ツールを提供している。
- 会計ソフト、連結会計ソフトの中には、科目と金額を、開示ツールに直接、流し込める機能が装備されているものもある。
- 開示事例の検索が、会社側でもできるサービスを提供している。
- 印刷会社によるチェックも、web上でのやりとりの仕組みが整備され、その分、開示作業に費やす時間が確保できる。
- 証券所に提出するのもweb上で済むことも、開示時間に費やす時間の確保に寄与している。
以上のようなインフラの改善によって、監査法人による、開示支援の必要性は不要になったのでしょうか?監査法人は安心して監査作業にのみ注力すればよいのでしょうか?
答えは、、、現状では、否なのではないでしょうか?
金融庁による提出有報のチェックの結果、有報の訂正を求められる事例は、相変わらず発生しています。
以上のようはインフラの改善があっても、「自社の取引事象が開示ルールに該当するか否か、の検討」が自動的になされるわけではありません。
そこで、自社に発生した取引について、監査法人から、なにがしかの開示ルールに該当するかどうかを提案してもらうことは、依然として、価値がある、期待されていることなのかなと、思っています。
カンタンなことです。「あの取引は、開示の〇〇に該当する可能性がありますよ。」とタイムリーに伝えてもらうだけです。
上に加えて、
「該当する場合、ざっと波及する論点は▲▲と▢▢です」「損益への影響額はざっと○○です」「他社の会事例はこんなのがあります」
まで言及してするのは、今でも、監査法人として当然のサービスなのではないでしょうか?
シッカリしている主査(=監査法人の現場責任者)は、併せて、「その場合に、監査上、〇〇のような資料を合わせてご準備願います」と付言しているでしょう。
この点が疎かな監査法人は、直ちに交代とはならないかもしれません。しかし他にも、コミュニケーションが悪い、決算の段階になってダメ出し(特に企業結合関係)をする、等の不満足な点があると、クローズアップされることもあるようです。
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