業務プロセスの、統制テストでは、母集団から定められたサンプル数を抽出しますが、その際の留意点としては、
- 母集団を明示することで、漏れが無いことを確認する。
- サンプリング数の計算の基礎になる。
- 余分なものを含んでもOK
といった点が挙げられます。
まず、1.についてですが、母集団の名称、例えば「〇ファイルに綴られている」と明示すること、それ自体が大切です。
次に、2.についてですが、一般に、「250件未満であれば、10%、それ以上であれば、25件」というルールから自動的にサンプル数を算出することが容易になります。
この時のサンプル数はどの程度精密である必要があるでしょうか?
マジメな担当者だと、ファイルの紙を1つ1つカウントして、例えば、「1321件」などと記入されるのかもしれません。
(途中で間違えたら、最初からカウントし直すのかもしれません)
しかし、母集団の数の本質は「合理的なサンプリング数の根拠とする」ことです。
ですので、明らかに250件超の場合には、上のファイルの中の枚数をカウントするのであれば、「最初の100枚程度を数えて、後はその厚さの何倍かを物差しで測り、その倍数程度ある」という粗さで母集団の数を記載しておけば足ります。
(どんなに正確にカウントしても、サンプリングするのは25件ですから)
次に、3.についてですが、これは、例えば、売上計上プロセスの受注行為について、本来であれば、成約まで至った受注情報のみを集めて母集団とすることがベターではありますが、受注データから、最終的に成約に至ったか否かを峻別加工するのは煩雑です。
であれば、その区別なく、生の受注データを丸ごと使ってしまって問題ありません。
もちろん、抽出する件数は多くなるかもしれませんが、多くなった分の統制証跡を集めるのと、成約まで至らなかった案件を峻別する手間とでは、通常の場合には、圧倒的に、前者の方が容易です。
「そんな、関係のないものが混ざっていては、オカシイではないか?」と言われる方もいらっしゃいましたが、実施基準等では、プロセスごとに一連のサンプルを集めることは示唆されておりません。
なお、この際、サンプリングしてみたら、最後、売上まで到達しなかった取引を引いてしまうことがあり得ますが、そのため、「通常25件のところを、+2,3件取っておく」というのが実務上のコツです。
そしてそのようは「はずれ」のサンプルは、「イレギュラー」として、丁寧に明記してあげればokです。
これは数学の統計学上は、不正確です。
が、そもそも、25件の根拠としている統計学の根拠も不正確なので、理屈で言っても大丈夫です。(私は覚えず、聞かれたときに笑顔で説明できるように、その資料をpdfにして保存しています)
実際、金融庁のレビューや、JICPAの品質管理レビューでも、この点、指摘されたことはありません。
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