Q
上場会社の監査の紹介ばかり記載されていますが、特別目的の財務情報に関する監査証明は、しないのですか?
A
日本公認会計士協会は、平成26年4月4日付で、関連する監査の実務指針として、監査基準委員会報告書800「特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対する監査」(以下、「800」という)及び監査基準委員会報告書805「個別の財務表又は財務諸表項目等に対する監査」(以下、「805」という)とともに、監査基準委員会研究報告第3号「監査基準委員会報告書800及び805に係るQ&A」(以下、「第3号」という)を公表しています。
公式な適用開始は、平成27年4月1日ですが、前倒しで、平成26年4月1日から適用することが可能です。
上記の説明は、正確なのですが、その分、専門外の方には分かりにくいかもしれません。
ちょうど、平成27年2月26日に、日本公認会計士協会が日本経済新聞に、この監査の啓蒙の広告を打っていますので、引用します。→ こちらをクリックして下さい。
私どもは、この枠組みに該当する監査証明のご依頼を受注し、監査業務を開始しております。
守秘義務がありますので具体名は控えますが、非営利組織の、従来、現金主義会計で貸借対照表もない組織体からのご依頼に応え、会計監査を実施しております。
かような対応がなぜ可能かと申しますと、
- 「監査証明」自体は、上場会社のそれと基本的に変わりませんし、
- 標準的に実施すべき手続や、報告書の様式は、以上の実務指針等に明記されております。ですので、それを具体的に監査実務に落とし込めるセンスとスキルがあればできます。
ですので、上場会社様の監査を遂行できる能力(こういう言い方をご容赦ください)と、通常持ち合わせているコミュニケーション能力があれば、できるのです。
監査法人の選定上の留意点
特別目的の財務諸表の監査は、最近登場した実務です。ですので、そもそも、この監査実務自体を知っている会計士もまだ多くはありません。
この監査のニーズは中小、小規模の事業体が想定されていますので、大手監査法人ではノーケアに近いので、大手監査法人の会計士に聞いても???でしょう。また中小監査法人でも、この監査に注力しているところは殆どないのが実態です。
会計業界にとって職域の拡大だと、日本公認会計士協会は宣伝していますが、それはこのプロジェクトに予算がついていてそれを消化する関係者のための方便でしょう、というと言い過ぎでしょうか?
そこで、依頼する企業側に立って、監査法人を選定する際に留意すべき事項をあげてみましたので、ご参考にしてください。
以下の点について、会計士に話を聞いてみて、はぐらかされたり、よくわかっていないようであれば、、、どんなに提示される報酬が安くても、頼まないほうが無難です。あとあと、トラブルの原因になりかねません。さりげなく、専門的な知識があるかどうかを試してみるのも良いと思います。
① 前提その1 - 一般に公正妥当と認められる会計基準
そもそも、会計士が帳簿を見ることによって、自動的に監査証明が出る訳ではありません。一般に公正妥当と認められる会計の枠組みに準拠している必要があります。
「会計基準なきところに、監査証明なし」とも言えます。
② 前提その2 - (会計基準への)準拠性
その会計基準に準拠している旨の宣言が必要です。
形式的には、経理規程にその旨を明記してあれば、よいです。
ただし、安易に「公益法人会計基準に準拠している」などと書くと、墓穴を掘ります。
上記のように、公益法人会計基準と(範囲を限定しないで、例外を設けないで)書いてしまうと、公益法人会計基準に明記のあることは全て作成・対応しないと、不適正になってしまいます。
このさじ加減を、経理規程にアレンジして書き込むスキル、が必要になります。
なお、一般に公正妥当と認められる会計基準がない、なかったからと言って、即、止めるのではありません。期中に是正・構築して、年度末に作成する財務諸表が、GAAPを満たすようなアクションを実行し、期末に備えることになります。
監査報酬につきまして
最後に、料金でございますが、各々の事情によって大きく異なりますので、個別にご相談させて頂きたいと存じますので、お早目にご相談ください。
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