JSOX導入後、5年以上が経過し、当初、設定していた評価範囲だと不足するという事態に直面している企業が増えてきています。
単純に、評価範囲を増やすとなると、以下の2点が問題になります。
① 経営者評価の社内担当者のスキル
制度導入時の担当者が定年で退職したり、異動したりで、現行の経営者評価のメンバーは「毎年のメンテナンスのみしかスキルがない」場合には、
② 海外の拠点を事業範囲に追加するケース
現地人にとって、JSOXは、全く未知のことです。これを、在外法人にどのように指導し、運用してもらうかは、至難です。
上記①については、監査法人の指導も仰ぎながら、何とかするのでしょうが、上記②は本当に大変な作業になります。
そこで、②については、「理屈をつけて、何とか回避する」というアプローチになります。
まず、考えるのは、重要な拠点の選定ルールを見直す方法です。
「え?選定ルールを見直していいの?」とビックリされるかもしれませんが、必要な文書化をセットにしておけば、制度違反にはなりません。
また、「選定ルールを変えることは、監査法人が認めるハズがない」と思い込んでいるとしたら、それは誤解です。
また、「この拠点は、過去に不正があり、これまでも監査法人から重要な拠点に入れてくれと要求があったのを、重要性がないという理由で将来の課題としていたが、もう、逃げられない」と思い込んでいるとしたら、それも誤解です。具体的に言うと、財務諸表監査と経営者評価を混同した誤解です。
→ 【参考】66 JSOXの評価範囲の選定で、海外子会社を含める含めないの判断は、一体監査上、監査法人の希望に従わないといけないのでしょうか?
どのように、経営者評価の文書化をするのかですが、個別の事情を抽出し、想定されるリスクを列挙し、それらの緩和要因を指摘することにより、経営者評価上(および監査上も)、弊害がない、さらに、より実態を反映する等を付記できればよいでしょう。
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