解説
1 経理担当者にとって気になる?点
これから「監査上の重要性の基準値」を説明していきますが、監査の経験がない経理担当者の方にとって、監査法人側の理屈は、とっつきにくいと思います。
そこで最初に、「監査上の重要性の基準値」の概略をまとめておきます。
2 経理担当者に理解してほしい点
「監査上の重要性の基準値」とは、ざっくり言いますと、「この金額以上の会計処理や表示の間違いが財務諸表上に残っていたら、その財務諸表は不適正であると監査法人が評価するためのモノサシの金額」のことです。
監査上の重要性の基準値の話では、「3つの数字が羅針盤になる」と覚えてください。
・監査上の重要性の基準値、
・手続上の重要性、
・パス基準、
の3つです。
仮に、
・「監査上の重要性の基準値」を20,000千円、
・「手続上の重要性の金額」を10,000千円、
・「パス基準の金額」を1,000千円、
としますと、この3つの金額は、以下のように使われます。
1 監査チームの各担当者が着手する対象とする科目
「手続上の重要性の金額」の10,000千円超の科目だけ。それ以下の金額の科目は見ない、スルーする。
2 着手しても、中身は見ない項目
手続上の重要性の金額の10,000千円の科目の内訳のうち、パス基準の金額の1,000千円以下の内容は、見ない。スルーする。
3 修正しないことを許容する金額誤りの最大値
上の方針で発見した虚偽表示は、原則として経理担当者に修正してもらうが、その出し入れ(→修正をする、しない)の目安は、監査上の重要性の基準値の20,000千円。
実は、以上の3つの金額は、連結売上高が40億円であるか、又は税引前当期純利益が4億円である上場企業で、監査チームが採用している金額と近似している可能性が高いです。
もし、自社の連結売上高が仮に100億円だとしましたら、これに2.5倍した金額である可能性が高いです。
皆さんの会社の監査チームは、どうでしょうか?
3 念のため補足する点
監査上の重要性の基準値とは、「許される虚偽表示のリミッター」とも言えるかもしれません。
【経理担当者にとって】
監査上の重要性の基準値の話では、「3つの数字が羅針盤になる」と覚えてください。