解説
1 経理担当者にとって気になる?点
監査報告書は毎年、年度ごとに提出されます。このことから、「当期の虚偽表示のトータル金額がとにかくPMより下回ればオッケー、来期はまたゼロから集計されるのだから」と誤解される方が(たまに会計士にも)いらっしゃいます。
2 経理担当者に理解してほしい点
結論から言うと、虚偽表示の集計結果は、原則として翌期以降に繰り越します。(ただし、取引の性格によっては消滅するものもあります。)
前期末のタイミングから話を始めますと、監査は前期以前から継続的に実施されていますから、前期以前の虚偽表示が当期に繰り越されてきます。
つまり、前期末の時点で存在している間違いが、期首時点で、当期の決算書に‘含まれている’ことになります。
より正確には、
① 当期に入って自動的に解消されるもの
例 前期末に未計上だった未払費用
② 当期に修正仕訳を実施して解消させるもの
例 売上の先行計上
③ 解消させない=当期の決算書にでひきづったままになるもの
例 当期末に未計上だった未払費用
に3分類されます。
監査法人のPMを下回った場合、当期の監査意見は無限定適正になりますが、その集計された項目と金額は、原則として翌期に引き継がれていきます。
ちょうど、「法人税の申告書上、別表4で加減算した金額が、別表5に収容されて翌期以降に引き継がれていく」のと、同じ感覚です。
3 念のため補足する点
応用問題として、「当期の監査中に、前期の虚偽表示が発見された場合」は、どう考えればよいのでしょうか?
これも以上と同様で、当期での顛末次第です。
【経理担当者にとって】
虚偽表示の未修正は、基本的に、翌期へ繰り越される。