解説
1 経理担当者にとって気になる?点
JSOXの実施基準で示されてる2つの決算・財務報告プロセスは、実施基準の中で、「期中や前年までに、評価を終えておくよう」に書いてあります。
だとすると、「期末に虚偽表示が発生しても、当期の不備にはならないのではないか?」、と都合よく考えてしまう経理担当者は少なくないかもしれません。
2 経理担当者に理解してほしい点
JSOXの経営者による評価上、2つのレベルで決算・財務報告プロセスがあります。重要な引当金の計上プロセスなど、いわゆる個別に評価する決算・財務報告プロセスと、それ以外の決算に係る、いわゆる全社的な観点から評価する決算・財務報告プロセスです。
この2つのレベルの決算・財務報告プロセスの評価が他のは、期中(モノによっては前年)に済ませらるものは早期に済ませることが実施基準で勧奨されています。
しかし、当期の決算で集計された虚偽表示の内容は、以上の早期の評価に関わらず、当期に検討されることになります。
ざっくり言うと「ハンコの統制は期末前ベースで、金額は期末で」というイメージです。
JSOX上、いわゆる不備一覧表に集計していきます。表のレイアウトは各会社又は指導する監査法人によって異なりますが、その内容は、左から不備の事実と、個別の影響額と、他へ波及する程度を期待値と発生確率を込めた表現で記載する、といったものでしょう。
そして、実務上は、経営者文書上、これをキレイに文書化できる会社は稀であり、監査法人側の調書上では、業務プロセスの不備であれば、それがタチの悪いものでなければ、最終的な影響額が僅少と推定されるという落としどころでしょう。
これは、決算・財務報告プロセスでも同様ですが、業務プロセスとは異なり、金額間違いの不備なので、少なくとも個別の影響額は間違い金額が入ってきます。
3 念のため補足する点
財務諸表監査での虚偽表示一覧と、JSOXでの不備一覧表とは、以上の説明では対応するものなのですが、通常同じ金額になりません。この点は別のところで説明します。
【経理担当者にとって】
当期末の虚偽表示の金額がPMを超えると、JSOXの2つの決算・財務報告プロセスのいずれかの不備に跳ね返るリスクがある。