上場会社の監査法人の交代、会計監査の実務などを解説しています。

84 残高確認で、発送作業上、留意すべき点はどんな点でしょうか?

解説

1     担当者にとって気になる?点

ここでいう残高確認は、会社が自主的に行うものではなく、監査法人の依頼に協力して実施してあげる作業の方をさします。

監査法人側で残高確認を担当するのは通常新人か若手の会計士であることから、ダンドリ上のトラブルが頻発します。そのトラブルの尻拭いは結局、経理担当者が負う羽目になるようです。ですので、そうならないよう、ダンドリの流れは知っておくことは有益と思います。

2     経理担当者に理解してほしい点

まず、金融機関や証券会社向けの残高確認について述べます。

上場会社の決算期の多くは3月のため、金融機関の残確は4月に集中します。ですので4月に入ってから発送しているようだと処理が後回しにされる虞があります。

また銀行残確は回答内容が多いため、記載の一部が誤っていることが往々にしてあります。

したがって発送が遅れ、回収が遅れ、しかも再発送となると監査法人が必要としている回収期限に間に合わなくなるので、経理担当者が金融機関にせっつく仕事が増えてしまいます。

以上から、まず、金融機関や証券会社の残確は、3月の2週目から4週目中に発送してしまうことが肝要です。発送時には金額欄を記入する必要が無いため、取引銀行の支店名と証券会社名が分かれば、4月を待つ必要はなく、3月中に発送できるのです。

なお、発送先は多くの監査法人は取引先全件だと思いますが、期末前に取引を解消した金融機関にも発送するかどうか程度は、念のため監査チームの担当者に一言念押ししておきましょう。

 

次に債権・債務の発送先の選定作業に際してですが、発送先の選定方法は各監査法人や会計士によって異なりますが、共通な点は、売掛金の期末残高を大きい順に並べた一覧表を使用する点です。

そして、ここが経理担当者が誤解される点なのですが、売掛金の期末残高リストは、粗々の金額のものでOKなのです。粗々のものでよいため、それをベースに発送先を選定し、発送することが可能なのです。

「そんな粗々な金額だと、相手先からの回答と不一致になってしまうのでは?」と心配されるかもしれませんが、差異があること自体は監査上は問題なく、その差異の理由と正しい残高を押さえられればOKです。

例えば、

・4/5に粗々の売掛金の期末残高リストを元に残確を発送したときには100万円で、

・4/15に売掛金が110万円と確定し帳簿残高も110万円となり、

・4/19に回収した確認状の回答金額が110万円であった

ケースを考えると、差異金額は10万円ですが、その理由は自社の金額が修正されたためと確認できればオワリです。

この10万円は、その内容を考えても虚偽表示ではありませんので、PMに影響しません。

なお、営業部への配慮としては、経理担当者は発送リストを、事前に営業担当者に回付して、粗々の金額で照会してはいけない社だけ金額を確定させてから、発送作業を実施することが望ましいです。

 

また、個人向けに残確を発送しようとしていたら、可能な限り、代替的な発送先を選定してもらうよう、監査法人に提案することをお勧めします。

これは、回答が返却されないことに加え、当該相手先から会社へクレームが来る可能性があるからです。いくら残高確認上に「これは債権の金額を確約するものではない」と書いてあっても、小さい字ですし、相手先の人の多くは、このような用紙に慣れていないので、ビックリしてしまい、趣旨を誤解される方が多いです。

また、いくら残高確認上には、「不明点等は、監査法人**へ(電話番号:090-***)」と書いてあっても、直接、会社の営業担当者へクレームの連絡をされる人もいます。

そうすると、会社内で、営業部と経理部との間でクレームが生じ、今後の残高確認の実施もやりにくくなります。

3     念のため補足する点

以上の段取りは、本来であれば、監査法人側で承知していて、会社をリードしてほしいところだと思います。

しかし、監査チームで残確を担当するのが新人の場合には、前期の監査調書ベースで作業を行うのが精一杯であることから、経理担当者に配慮をお願いしたいところです。

【経理担当者にとって】

残確の発送は、出来が後の作業のやりやすさに直結するので、トラブルの芽を摘んでおきましょう。

[シリーズ] 「監査上の重要性の基準値」から理解する監査法人対応 Q&A

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