解説
1 経理担当者にとって気になる?点
重要性が乏しいという具体的な数値基準が全て明示されていると、経理担当者としては迷うことが無いため、仕事がやりやすいかもしれません。
2 経理担当者に理解してほしい点
例えば、以下のものについては、どの上場会社(連結対象会社を含む)にも、規模や業態に関係なく、適用されます。
・いわゆる「表示」での、科目の独立表示
・リースの1契約当たりの金額が300万円未満の場合には、オフバランス処理が認められる。
・連結売上に対して当該子会社の売上高が3%未満であれば、連結対象から除外できる。
・時価のある有価証券は概ね50%以上下落しなければ、減損処理を免れる。
しかし、最近の会計基準・適用指針・監査の指針等では、重要性が乏しい場合の処理には触れていますが、重要性が乏しいと判断する具体的な数値にまで踏み込んでいる規定は殆どありません。
これは、実際上、上場企業は規模や業種が異なる多様であるにもかかわらずに特定の数値・金額で判断するのは単純すぎると考えられること、上場会社では監査がセットになっているため、重要性の基準値とことさら定めなくても、監査で監査法人に判断させれば足りるという考え方によっているためと推察されます。
3 念のため補足する点
重要性の原則について付言しておきます。
重要性の原則は、企業会計原則にあるものであり、個別に規定しなくても、会計のあらゆるところで斟酌されるべきものです。
重要性が乏しいとする具体的な数値基準がないことを嘆くより、会計実務の過程で監査法人と頻繁に協議し、重要性の有無に応じた、合理的な処理を指向する、というスタンスを共有しておくことが大切と考えます。
【経理担当者にとって】
重要性の有無は、積極的に監査法人と協議しましょう。