解説
1 経理担当者にとって気になる?点
経理の仕事でも、「重要性がある」「重要性が無い」と日頃よく使いますが、改めて根拠は?と聞かれると、即答できる経理担当者は、多くはないかもしれません。
2 経理担当者に理解してほしい点
会計は、会計報告の利用者に、企業の財政状態や経営成績を正確に伝えることが目的です。
そのために、総論としては、利用者に誤った情報を伝えるおそれがないなら、できるだけ簡単な方法で記録し、報告も簡易にすることが合理的です。
反対に、利用者に誤解を与えるおそれがある場合には、面倒でも厳密な方法で記録し、報告も厳密にすることが必要です。
前者のケースを「重要性が乏しい」、後者のケースを「重要性が高い」と言っています。
そこで会計のルールでは、ざっくり言いますと、
① 「重要性が高い」ものは、厳密に報告できるよう、記録の仕方を詳細に定め
② 「重要性が乏しい」ものは、簡単な報告で足りるよう、簡単な記録でするように定めたり、いっそのこと定めない、
③ それ以外のものは、フツーに大事といいますか、フツーに必要なことを定める
という規定の使い分けがなされています。
しかし、以上の3分法とは別の話として、会計固有の制約があります。それは、時間的な制約です。
会計は人為的に区切って行われます。上場会社であれば、3か月ごとに決算に準じた精度(実務上は限りなく決算に近い負荷)で四半期決算をし、かつ年度でいわゆる本決算を行います。
そこで、以上の③について、本来、必要とされる処理を定めたうえで、例外的に簡単な扱いを許容することを認める余地を予め設けておく必要があります。
これをこのシリーズでは、これ以降、カッコつきの「重要性」と呼びます。
3 念のため補足する点
「重要性」が、会計上で認められれば、当然、監査上も認められます。
【経理担当者にとって】
「会計情報のコストとベネフィット」と「時間的制約」によって、会計処理と表示に重要性に基づく対応が許容される。