解説
1 担当者にとって気になる?点
見積りの金額→確定できない金額→不確かな金額、と考えてしまうと、虚偽表示の集計上、「見積もった金額は、即、虚偽表示の金額と見做される」、という不利な扱いを受けるのでは?と誤解してしまう経理担当者もいらっしゃるかもしれません。
2 経理担当者に理解してほしい点
まず、見積りの金額であることは虚偽表示の金額と、直接には関係がありません。
具体的には、会計上の見積りと呼ばれる、各種引当金の計上額などについては、見積りであっても、相応の蓋然性(確からしさがある)をもって計上されていれば、その計上額は、当然に、虚偽表示には該当せず、敢えて言えば、虚偽表示はゼロ円であり、カウントもされません。
私の実務での経験上、虚偽記載が一番多く発生するのも、会計上の見積りの領域からです。ただ、それは、引当金のような計算ロジックがあるものではなく、複雑なデリバティブ商品や信託財産の時価評価といった、鑑定モノです。
3 念のため補足する点
ただし、先の引当金の例でも、計算ロジックの一部が適切ではないと監査法人から言われればその分になりますし、例えば、時価で評価すべきところ取得価額のまま計上しているような場合には、あるべき金額(=監査法人が試算した時価)と計上額(=ここでは取得価額)との差額が虚偽表示となります。
ただ、それは、広い意味では計算間違いであり、当然、虚偽表示とカウントすべきものです。
【経理担当者にとって】
会計上の見積りと、虚偽表示とは、直接の関係は無い。