解説
1 担当者にとって気になる?点
IT業務処理統制の運用状況テストの方法には、「手作業による統制の場合と同様にいわゆる25件テストを実施する」のと、「IT全般統制としての運用状況テストを実施する」の2通りがあると、別のところで触れましたが、それをここに切り出して説明します。
2 経理担当者に理解してほしい点
別のところで、業務プロセスの統制のタイプは、①自動化された統制(例 商品の価格情報は単価マスターを参照して生成する)、②ITに依存した手作業の統制(例 販売システムから出力された「売掛金一覧」を営業部長が閲覧して、異常なものがないことを確認して承認する)、③手作業の統制(経理担当者が起票した会計伝票を上司が承認する)、の3タイプに分類されると説明しました。
この①②③の、どのタイプであっても、いわゆる25件テストを実施し、どのサンプルでも統制が有効であると認められれば、統制は「期間にわたって有効である」と評価することができます。
別のテーマの1)のいわゆる整備状況テストで有効と評価された心証を、3月まで引き延ばす」ために、運用状況テストを実施します。
そして、キーコントロールが別のテーマでの統制のタイプの②と③の場合には、当該キーコントロールをダイレクトに運用状況テストする代わりに、その統制に係るアプリケーションに対するIT全般統制の
1) 予定された統制があり、
2) それが4月から3月まで有効である。
ことが確認できれば、「当該IT業務処理統制が「期間に渡って有効である」と見做せる、といえるのです。
したがって、以下のA、B、またはCのいずれかが成立すれば、当該業務プロセスのは有効といえることになります。
A、B、Cを比較しますと、Aは業務プロセスの手作業の統制を評価する通常のケースであり、BもAと同じことをするという意味ではイメージが難しくないと思います。
Cが他の2つとパターンが異なっており、IT全般統制に依拠するケースです。なお、このCのケースであっても、業務プロセスのウォークスルー(1件テスト)は‘逃れられない’点は留意しておく必要があります。
統制のタイプ | タイプ① | タイプ② | タイプ③ | |
手作業統制 | IT依存手作業統制 | 自動化された統制 | ||
(統制の頻度が都度の場合)
統制が有効である条件 |
いわゆる25件テストが全て有効 | いわゆる25件テストが全て有効 | いわゆる25件テストが全て有効
又は IT全般統制が有効 |
いわゆる25件テストが全て有効
又は IT全般統制が有効 |
業務処理統制の整備状況テストが有効 | A | A | B、C | B、C |
業務処理統制の運用状況テストが有効 | A | A | B | B |
IT全般統制の整備状況テストが有効 | 該当無し | 該当無し | C | C |
IT全般統制の運用状況テストが有効 | 該当無し | 該当無し | C | C |
3 念のため補足する点
なお、理論的には運用状況テストのサンプルの要件は4月1日から3月31日までの間の取引になりますが、いわゆるロールフォワードの確認作業をすることで、実際には4月から12月までの間の取引でよいとされます。
【経理担当者にとって】
IT業務処理統制の運用状況テストには、2通りあります。
1つ目は、手作業の統制と同様に実施する方法であり、2つ目は、IT全般統制に依拠する方法です。