解説
1 経理担当者にとって気になる?点
改正監査基準報告書600「グループ監査における特別な考慮事項」が公表されており、中小監査法人でもこれの適用が開始されます。
これにより、従前の以下のリンク先の実務がどのように変わるのかを確認します(私見です)。
29 【改正前】「重要性がある子会社」、「(全体としては重要でないものの)特定の科目等のみ重要性がある子会社」、「重要性が乏しい子会社」といった区別は、どのような指標に基づいているのでしょうか?
2 経理担当者に理解してほしい点
結論から言うと、改正監査基準報告書600「グループ監査における特別な考慮事項」の適用後も、従前の「重要性がある子会社」、「(全体としては重要でないものの)特定の科目等のみ重要性がある子会社」、「重要性が乏しい子会社」の各々にカテゴライズされる会社群に大きい変化はないと見込まれます。
大手監査法人はすでに適用開始していますし、各法人の監査マニュアルに沿ってやっていることでしょう。
(本国ですでに反映済なものを日本語訳して使用している、なんといっても、監基報600がほとんど国際監査基準のそれを丸のみなので、調整作業もわずか)
問題は中小監査法人の場合ですが、平成17年度以降のJICPAの品質管理レビューが実務上、定着されており、すでに4巡目位に入っていますが、これまで改正前監査基準委員会報告書600を判断指針に品管レビューを実施してきていると承知していますが、いわゆる15%基準を適用していてあまりに不適切な場合には指摘され改善されている「はず」です。
つまり、これまでのカテゴライズの結果は、「15%基準+実態判断上で著しく不都合ではない」ハズです。
監査法人にとって、大半の監査案件は、この一年で、監査環境、監査報酬は殆ど変わっていないはずです。であれば、今回、改正内容に沿った判断過程にはなると思いますが、その結果は従来と同じに近いものに着地させたいのが監査法人側のニーズです。
★事務所の監査マニュアルを作成し、その中で監基報の抽象的な規定を具体例に落とし込んで明文化し、「これに沿って監査していますが、何か?」とレビュアーへ説明するのが、品管対策(!?)です。
3 念のため補足する点
もちろん、今回の改正以外のところで、「企業買収をして子会社が増えた」「コロナ禍が終わり一部の子会社で売上が著しく増加した」ということはあるでしょう。そしてそれによって上のカテゴライズが変わることはあるでしょう。
しかしその対応は、従前の15%ルールを継続しても同様だったのではないでしょうか?
【担当者にとって】
改正監査基準委員会報告書600の適用後に、従来の「重要性がある子会社」、「(全体としては重要でないものの)特定の科目等のみ重要性がある子会社」、「重要性が乏しい子会社」と分類される会社群は、従来のカテゴライズから大きく変化することは考えにくい。