上場会社の監査法人の交代、会計監査の実務などを解説しています。

11 TEの金額未満の科目や、パス基準未満の内容でも、実際には監査され、資料を求められた経験があるのですが、、、

解説

1     経理担当者にとって気になる?点

別のところで、「これ以下の金額の科目(TE)や、これ以下の金額の内容(パス基準)は、監査で問われない」と説明してきました。

。。。しかし、実際には、それらのルールに関係なく監査で質問や確認をされることはあります。

「なんだ、結局、そのような細かいことまで監査法人から質問されることを想定して、資料等を準備しておかないといけないのか。。。」のかとガッカリしてしまうかもしれません。

2     経理担当者に理解してほしい点

結論から言うと、監査法人から、そのような質問を受けた場合には、「少額なので、詳細な資料の提出を求めていませんが、必要であれば今から調査しますが。。。」という感じで会計士側にやんわりと投げ返すような対応があってよいと思います。

理由は、TE未満やパス基準未満の金額の科目や内容に対して監査法人がする質問は、明確な目的を有しているわけではないと思われるからです。以下で順に見ていきます。

1        TE以下の科目を例外的に監査するケース

引当金などについては、いわゆる会社法計算書類や有報の表示検討作業でその内訳を確認しておく必要があるので、それを兼ねて、監査までしてしまうことがあります。

しかし、表示検討のときには、そのときに当該内訳資料を借りて確認すればよいはずですので、「やりすぎ」であることに変わりありません。

2        パス基準未満の内容を、例外的に監査するケース

同じ貸倒引当金を例にとりますと、一般引当率の計算のようなものは、計算が正しいかどうかをトレースしていくと、結局、計算全部について内容をヒアリングしてしまうことになることがあります。

個別引当分の妥当性についても同様で、金額が大きいものと少額なものが混在している場合には、敢えて少額なものを間引く手間より、全部聞いてしまうことの方が通常です。

以上の例の通り、例外的に監査しているものは、いわば「勢いで監査している」ことが大半です。経理担当者の方には申し訳ないのですが、会計士側からは「検証している」という意識はなく、「もし知っていればという期待感で聞いている」程度であり、少額であれば疑問点が解消でき無くても、それ以上話が大きくなることは、まずありません。

ですので、本社の経理担当者が、例えば、滞留債権について、支社で発生したもので本社では関知していないような少額なものまで監査法人から質問を受けた場合には、慌てて当該支社に問い合わせるようなことはせず、ニコッと笑顔で、「少額なので、詳細な資料の提出を求めていませんが、必要であれば今から調査しますが。。。」という感じで会計士側に投げ返してもよいと思います。

そう言われると、「あ、そうですか、では金額も少額ですので、追加でお調べ頂くことは結構ですが、機会があれば、支社の方に内容を確認しておいてください」「ハイ、わかりました」というやり取りで終わると思います。

そういっても改善されない場合には、、、監査中又は監査終了後に、主査又はその上の業務執行社員に対して、「当社は、そんな時間がかかった分を、請求する監査報酬にオンされても納得できない」とハッキリ申し伝えていいはずです。

3     念のため補足する点

上と似たケースで、会計士が、会計帳簿上を閲覧していて、金額のつながりを理解できない、追跡できない(「トレースできない」といいます)場合には、金額の多寡に関係なく、質問されることもあると思います。

よくあるのが、繰延税金資産又は負債の金額が税効果会計上認識した金額と不一致で質問を受けるというものです(たいてい、投資有価証券の時価評価で発生している分を、会計士側が拾い漏れているだけですが)

このような場合には、科目の振替等については、少額であっても「見る」ことにはなりますが、しょせん、その程度ですので、金額の裏付けとなる追加資料を求められることは、通常ないと考えます。

【経理担当者にとって】

監査法人が、PMの5%以下の残高、取引金額を、直接検証することはまずないし、あっても、準備不足な場合には、一度、押し戻してもよい。

[シリーズ] 「監査上の重要性の基準値」から理解する監査法人対応 Q&A

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