解説
1 担当者にとって気になる?点
決算早期化に取り組んでいる会社にとって、PMをうまく使うアイデアを紹介します。
2 経理担当者に理解してほしい点
決算早期化には、意識的に概算計上、概算処理を採用することが有効です。
もちろん虚偽表示になり、PMの枠の一部を決算前に消化してしまうリスクは生じます。
しかし、プラスとマイナスの両方の要素があると相殺されます。また監査法人と合意していれば、JSOX上の不備とカウントされることもありません。
具体的には以下のものが考えられます。
1 各子会社の単体決算、親会社の単体決算の早期化
決算早期化というと、経理業務の合理化が重要と思われますが、実際に重要なのは、売上、仕入、原価、経費の、早期かつ正確な確定です。
その方策の一つに、概算で計上することが挙げられます。
2 連結決算の早期化
連結相殺仕訳の際に、概算で相殺することが挙げられます(別のところでの説明 参照)
3 開示情報の作成の早期化
決算処理にもPMを活用することが考えられます。
例えば、貸倒引当金の計上を売掛金が確定してから着手するのではなく、売掛金が概ね固まったところで着手してしまい、売掛金が修正されたとしても貸倒引当金の計算結果は修正せず、敢えて虚偽表示としてカウントしてもらうという方針もアリです。
実際、売掛金の残高が修正されたことでの貸倒引当金の計上額への影響は通常軽微です。
なお、以上の概算計上を実行する際に留意しておかないといけないのが、法人税上の申告計算です。
収入側を概算で計上するケースは少数と思われるため省略し、費用を概算で計上する場合の場合には当然、加算しておく必要がありますし、それが翌期に減算される、将来減算一時差異であることは明白なので、税効果のスケジューリングにも反映させておく必要があります。
3 念のため補足する点
以上の考え方は程度差はあれ実際には使われていると思います。
ただ、これを戦略的に利用するという、発想の転換です。
これを実践する場合には、漏れが無いように、会社側でも経理部長がトータルで管理しているという体制が確保されていることが望まれます。
【経理担当者にとって】
決算早期化にも、PMを活用しましょう。