上場会社の監査法人の交代、会計監査の実務などを解説しています。

54 会計方針の変更の際、影響額の試算で苦労しています。

解説

1     経理担当者にとって気になる?点

会計方針の変更が起きる場合には、会計方針の注記(表示)の文言と影響額が重要になります。

文言は、最後は監査法人の好みに従って頂くのが申し訳ないところですが、それはそれで済むことなのですが、影響額の試算が大事です。

2     経理担当者に理解してほしい点

近時、いわゆる遡及修正基準が導入されたため、会計方針の変更に伴う影響額の計算は、以前より非常に煩雑になるケースが増えています。

そこで、経理担当者として是非考えてほしいのが、「影響額が僅少であると整理することはできないか?」という発想です。

 

会計方針の変更の際に、「重要性がない場合」には、その変更に伴う影響額の金額的重要性が乏しければ、金額のところは「軽微」と表現して、具体的な金額を記載することを省略できるためです。

影響額が僅少であるという蓋然性を、会社及び監査法人が共有することのメリットは、心証形成のための金額でいいので、概ね概算でよいので、監査法人に提供する資料は量、精度とも、ある程度のものでも大丈夫になりますので、その説明資料の手間が大いに軽減されることです

 

この点は、会計方針を変更する対象が、質的に重要であっても同様です。

貸倒引当金などの、一般に会計上・監査上で質的に重要であると見做される項目だと、数万円程度でも正確に計算しないといけないと思われるかもしれませんが、それは誤解です。意味のない細かい計算をしないよう、留意ください。

3     念のため補足する点

別のテーマの虚偽表示に係る修正のところでも触れましたが、製造経費に係る会計方針の変更の場合、影響額を厳密に計算すると、原価計算によって在庫に配分された金額を控除するといった煩雑な世界に入ってしまいます。

【経理担当者にとって】

会計方針の変更の場合「影響額が僅少にならないか?」の発想をもちましょう。

[シリーズ] 「監査上の重要性の基準値」から理解する監査法人対応 Q&A

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