1 経理担当者にとって気になる?点
監査対応時、監査法人が、一年を通じて、概ね、こんなスケジュール感で作業をしていると知っておけば、何が優先で、何が後回しでも許容かとの目安がつき、監査対応にも余裕ができると思います。
2 経理担当者に理解してほしい点
監査法人は、一年にいろいろな作業をしております。ですので、それをカレンダーに細かくご説明しても、かえって分かりにくいと思います。そこで、以下では、イメージを持ちやすいよう、かなり単純化してご説明します。
まず、監査法人の新年度は7月から始まります。お盆前後に新年度の「監査計画」を社内で承認してもらい、その前後から新年度の業務が始まります。
業務は「リスクアプローチ」という考え方に沿って勧めます。
リスクアプローチを、実際の手続きの面から説明すると、3月決算会社の場合には、
・8月から3月までの期間(以下、「期中」という)には、PL科目の計上が「正しく計上される仕組み」の妥当性を検証し、
・4月下旬から5月中旬が典型的な時期)には、BS科目の「残高」の妥当性を検証している。
と言えます。
前者を「統制テスト」、後者を「実証テスト」と呼びます。
統制テストは、上場会社の場合、J-SOXの監査と合わせて実施します。
また、実証テストでは、BS科目ごとに、科目内訳表中の各項目の計上の妥当性を検証します。
これらを、時期と合わせて表にすると以下のようになります。
時期 | 期中(8月~3月) | 期末(決算時(4月、5月) |
名称 | 統制テスト (例 売上計上プロセスのキーコントロールの整備・運用上表の監査) | 実証テスト (例 売掛金の残高の妥当性の監査) |
目的 | 統制を見る (例 出荷時に所定の統制が整備・運用されているか否かを確かめる。) | 金額を見る (例 確認状の回答金額の差異は妥当であるかを確かめる) |
監査対象の科目 | PL科目 (例 売上) | BS科目と派生PL科目 (例 売掛金と売上) |
(なお、6月は、上旬に、有価証券報告書の表示検討作業)
上の表はざっくりしたイメージであり、例外はありますこと、申し添えます。
例えば、期末には、PL科目は、一切、何も見ないわけではありません。別のとこで説明します、分析的手続を実施します。
また、上場会社には四半期レビューがあり、その時に期末の有報での開示上も影響のある取引については、期末の先取りで、実証テストをすることもあります。
3 念のため補足する点
シンプルに言うと、以上の通りなのですが、、、実際には、以上に、
・四半期ごとのレビュー
・子会社往査、支社往査
・J-SOX固有の手続き
・決算に向けての課題の対処
・前回までに未了な作業のフォロー
が重層的に加わるため、3月が近づくにつれて、一度の往査でいろいろな作業が同時並行で進められます。
【経理担当者にとって】
監査チームは、期中は統制、期末はBS残高をメインに見ます。