解説

1     経理担当者にとって気になる?点

監査法人による各子会社の監査の仕方を注意して見て頂くと、親会社の会計士は、子会社の監査を、どの子会社も同じようにしているわけではないことに気づかれると思います。

直接往査に行く子会社もあれば、試算表の金額を前年比較して済ませる子会社もありますが、何を基準にメリハリをつけているのでしょうか?

特に経理担当者としては、往査に行く行かないは、監査役(会)の監査スケジュールと連動する会社などでは、関心があると思います。

2     経理担当者に理解してほしい点

平成11年の連結財務諸表原則の改訂以降、上場企業の開示は、いわゆる単体財務諸表中心から連結財務諸表中心へと変わりました。

その結果、監査法人は、連結財務諸表と単体財務諸表の双方に対して監査意見を表明することになっています。

したがってPMも、連結ベースと親会社単体ベースの双方を考慮する必要があります。

 

子会社に直接往査に行く、行かないの区別の前に、監査法人にとって、子会社の監査のやり方を分類すると、①重要性のあるグループはどこか?②どこまで深く監査するのか?、になります。

それは、ざっくり、以下のようになります。

 

他の監査法人

他の監査法人

無し

国内海外国内海外
重要性がある会社インストラクション(詳細)インストラクション(詳細) 直接往査・毎年又は数年おきに、往査

・それ以外は、決算書の分析のみ

(全体としては重要でないものの)特定の科目等のみ重要性がある会社インストラクション(一部)インストラクション(一部)・決算書の分析のみ
重要性が乏しい会社決算書の分析のみ

 

左列の3つの分類、つまり連結財務諸表の監査の重要性を決める方法は、いわゆる大手監査法人の中でのマニュアルでは規定されておりましたが、日本の監査の実務指針には長らくなかったものです。それでも、2011年に監査基準委員会報告書600 「グループ監査」が整備され、その中で盛り込まれたものです。

3     念のため補足する点

以上は、一般的な状況を前提としています。

例えば、当期に買収等によって新規取得した子会社や、当期に特殊な取引や多額の取引をした子会社、又は前期に不正等が発覚した子会社は、上記の方針をベースにしつつ、個別に追加する、というイメージです。

【経理担当者にとって】

子会社に往査するかしないかは、少なくとも重要性がある会社が対象になります。