解説
1 経理担当者にとって気になる?点
主査から、四半期や期末の往査ごとに、議事録をみせてくれるよう、依頼されると思います。
監査法人は、監査の都度、なぜ、取締役議事録を閲覧するのでしょうか?
2 経理担当者に理解してほしい点
監査法人は、各四半期の本社往査時と、期末の実証手続実施の本社往査時に、取締役会の議事録を閲覧します。
議事録には、会計上の取引となる前の事象で経営上重要な事象が取り上げられていることから、その内容によっては、後発事象や企業結合等関係の注記を必要としたり、また、貸倒引当金、賞与引当金の計上を検討する事象を発見できる可能性が高いです。
後発事象になりそうなことは、その都度、経理担当者から相談が来ているはずなのですが、取締役会の議事録にあることで経理部長が知らなかったということはたまにあります。
監査法人は往査時の最初の時期に、議事録綴を経理担当者を窓口に、総務部等からオリジナルの議事録綴をお借りすることが通常です。
後発事象や引当金の計上は開示上重要であるため、その有無を早く確認したいので、往査の最初の時期に行うことが多いです。またその重要性に鑑みれば主査が行うことが通常です。
他方、議事録上記の目的のため、議事録、特に取締役会の議事録は法定資料であるため、議事録の確定稿は1か月後になる場合もあります。
ですので、確定稿だけ見ていては、以上の事象を漏らしてしまう可能性があります。
そこで、作成進行中の分のドラフトも併せて所望することが通常です。
3 念のため補足する点
上記の目的にフィットする議事録は、通常は取締役会の議事録なのですが、会社によっては、取締役会より一つ下に経営会議(呼称は経営会議、常務会、営業会議等)を設け、実務的な検討は実はそちらでやっているという場合があります。
その場合には、取締役会の議事録と合わせて、そのような経営会議の議事録も併せてお借りすることになりますし、同じ趣旨で、作成進行中のドラフトがあれば合わせてお借りするのも同様です。
【経理担当者にとって】
議事録は後発事象の要否のアラームになるので、ドラフトを含め監査法人に提供しましょう。