上場会社の監査法人の交代、会計監査の実務などを解説しています。

53 連結FSの精算表での、連結相殺仕訳の相殺不能差額は、虚偽表示として集計されてしまうのでしょうか?

解説

1     担当者にとって気になる?点

連結決算上、連結会社間の内部取引を相殺消去しますが、その際に一方の要相殺金額と他方の要相殺金額が不一致であることが通常です。

これを全部集計されてしまうと、PMの金額などあっという間に超過してしまいます。

2     経理担当者に理解してほしい点

結論から言いますと、当該差額を虚偽表示がカウントされることはありません。

連結対象会社相互間の取引を消去する際に、内部取引が、キレイに相殺消去されない理由には、そもそも子会社側からの報告金額が間違っていたり、決算期が異なる会社間の取引金額を期間のズレの調整なしに使ったり、その複合であったりすることが挙げられます。

このようなケースでは、監査法人は、これまでのPMの考え方を踏まえれば、「少なくとも差額がTE以内になるまで原因を分析する」というのが回答になるはずです。。。しかし、多くの監査現場では、相殺金額が、データとして相対的に少額な側の金額に基づいて相殺されていることを確認してオワリであることが多いです。

換言すると、内部取引の相殺差額がTE以上であっても、その金額の原因を根掘り葉掘り質問される可能性は大きくないと想定されますので、安心してよいと思います。

やや詭弁になりますが、例えば、内部取引の相殺消去差額が残ったことを容認した時点で、そのあるべき処理の正解を放棄している訳であり、分からないことを虚偽表示の土俵に乗せることはムリである、というのがその理由です。

3     念のため補足する点

ある程度高額な連結会計ソフトでは、少ない方の金額に合わせて相殺するよう自動設定して、その結果が帳票となって監査法人へ提供されるので、監査法人側の監査も、多くの現場では、その設定通りになっていることを確認している、、、だけです。

会社側は連結会計ソフトを信頼して(?)そこはノーケアの場合が多いため、監査手続も、会社の意図通りに設定されて処理されていることを確認するところまでで止めている、ということです。

【経理担当者にとって】

連結決算での相殺不一致分は、虚偽表示とカウントされる心配はない。

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