上場会社の監査法人の交代、会計監査の実務などを解説しています。

61 業務プロセスのテストで、「整備状況テストは毎年実施せず、運用状況テストだけを毎年実施している」と説明したら、「それでは不足です」と言われてしまいました。

解説

1     担当者にとって気になる?点

業務プロセスの評価方法については、個別に間違えていた場合にはやり直し等の代替手段が取れますが、方針が間違っているとなると、その範囲は広範囲に及びますから、一大事です。

2     経理担当者に理解してほしい点

結論から言うと、このケースについて、正しくは以下の通りです。

  • ・財務諸表監査で「経営者評価結果の利用」をしている場合には、不足しています。
  • ・しかし、JSOXの経営者評価上は、許容されます。

以上の理由を、3月決算の会社で、運用状況テストのサンプルを4月から12月までの期間で25件抽出されたと仮定して説明します。

そもそも業務プロセスの統制が有効であると評価できるためには、ざっくりいうと、以下の2つが評価されていることを確認する必要があります。

1)       予定された統制があり、それが有効である。

2)       それが4月から3月まで有効である。

上記2)を「(統制が有効であることを)期間に引き延ばす」という表現を使うこともあります。

 

上記1)に対応するのが、整備状況テストであり、ウォークスルーと呼ばれるテストです。

具体的には、当該業務プロセスの特定の1取引について、RCMで示された統制の証跡を収集し、予定された統制が全て有効であることを1件だけ確認します。

この1件については、上記2)との関連で、期首近くの取引であることが上記2)との関係で望ましいのですが、せめて、第1四半期中の期間の取引から抽出してあればよいというのが、実務感です。

 

以上のことは、財務諸表監査では、理論的には毎年欠かすことができません。「前年との異動の有無の報告だけ聞いて済ます」のでは不十分ということです。

 

以上のことは、本来、JSOXでも同様です。しかし、解釈としては、平成23年12月に公表された、いわゆるQ&A(改訂版)で示された「簡素化」の方針のため、前年との異動の有無を確認する程度で「許容される」という実務感です。

3     念のため補足する点

もちろん、原理原則に戻り、監査法人の方から、「前年との異動で済ますことでOK」と言われれば、やる必要はありません。

気の利いた主査であれば、ウォークスルーの仕方に理屈をつけて、毎年その全部はしないような配慮はしてくれるかもしれません。

しかし、JICPA品質管理レビューを控えている監査法人からは、少なくともその年度はウォークスルーに協力してほしいと要請される可能性が高いと思われます。

【経理担当者にとって】

整備状況テストは、JSOXとしては簡便的な代替的方法で許容される。しかし「経営者評価結果の利用」をしている場合には毎年実施する必要がある。

[シリーズ] 「監査上の重要性の基準値」から理解する監査法人対応 Q&A

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