解説
1 経理担当者にとって気になる?点
別のところで、PMを期末日後、例えば3月決算期の会社であれば4月1日以降では、もはやPMを(より大きい金額へ)変更することはダメであることを説明しました。
それでも、事前に会社の主張する会計処理が想定されていれば、監査法人に、事前にPMをより大きい金額へ変更しておいてほしいと思う経理担当者もおられるかもしれません。
2 経理担当者に理解してほしい点
別のところでご説明しています通り、監査法人の主査は、期末の監査時のリスクヘッジを考えると、PMを当初の監査計画の値から(より大きい金額の方向へ)変更しておければいいなと考えています。
しかし、計画に沿って監査業を遂行しているわけですから、主査は、計画時に定めたPMを、やみくもに変更していいわけではありません。変更をするタイミングは大体決まっています。概ね以下の3つです。
1 特別な事情
企業再編等、当初のPMの算定の前提が変わってしまったとき
2 (1Q)、2Q、3Qでの業績修正
業績が低下し、利益見込み額が損益トントンに近い金額に減ってしまいそうな場合
3 期末前
会計処理で会社との協議が不調のままの場合、最悪、差額を監査差異で吸収せざるを得ない事態が想定される場合
上記1.と2.の場合にはPMを変更しなければなりません。
それに対して上記3.は、監査法人の主査と業務執行社員の意思で変更することになります。
3 念のため補足する点
以上のうち、最後の「3期末前」については、一見、「不適切な会計処理を認めるための作業ではないか?」「監査のお手盛ではないか?」と疑問・お叱りをうけるかもしれません。
しかし、監査法人と調整が不調の結果、監査意見に傷がつくことのリスクを低減しておくために、いわば「地ならしをしておく」意味で、必要悪の手段とも言えます。
【経理担当者にとって】
PMは、機動的に変更されます。