解説
1 担当者にとって気になる?点
監査法人からの依頼に応えて、毎決算時に、いわゆる科目別増減明細表を作成している会社は結構あると思います。
ただし、そのメリットを生かすように運用されている監査現場は多くなく、経理担当者としては手間がかかることもあり、つい断りたく思ってしまうこともあるかもしれません。
2 経理担当者に理解してほしい点
結論から言うと、それでも、リードスケジュールを作成し監査法人へ提供してあげる方が、経理担当者の監査対応時間が省力化されるはずです。効率化になるので、作成した方が良いと思います。
監査法人は、監査作業の冒頭に、メンバーが主査から割り振られた担当科目ごとに、前期からの増減金額を把握し、当該増減の原因を把握する作業からスタートします。
しかし、ただでさえ、財務諸表の科目を分担していて全体のストーリは把握しにくい中、また時間の制約もあるので、勢い、会社の担当者を捕まえて増減の主な原因・トピックを質問しようとしますが、この監査の冒頭のタイミングとは、経理担当者の決算作業の終盤と重なることが往々にしてあります。。
すると、担当者の本音は、「まずは自社の決算作業に集中させてほしい、ジャマしないでほしい」、という感情です。
その対応のための仕込みとして、会社側で監査法人が作成したい資料を予め作成し、具体的的には、質的・量的に重要性のある科目について、増減の理由を端的に記述した資料を、監査の冒頭に監査法人に提供しておけば、
・監査法人はしばらくは、その資料を基に自分たちの作業に注力し、
・会社決算の邪魔をしないで済む、
ので、双方メリットがあるのです。
やや見下した言い方をすれば、「リードスケジュールに監査法人のおもりをさせておき、その間に決算を進める」と思うのはいかがでしょうか?
3 念のため補足する点
監査法人側では、リードスケジュールを、主に3つのタイミングで利用します。
まず、監査の年度初めの、計画策定時です。そして期末監査の冒頭に、全体的な分析のためです。最後に、審査資料に添付するものです。
【経理担当者にとって】
リードスケジュールは、実は会社にとっても、目に見えない監査コスト削減に寄与しているとも言えますので、協力してあげましょう。