解説
1 経理担当者にとって気になる?点
多くの上場会社では、毎年、無限定適正意見が表明されています。
結果として無限定適正意見なのですから、PM以下の虚偽表示は小事ということで黙っていてほしいと願う経理担当者は多いかもしれません。
2 経理担当者に理解してほしい点
虚偽表示がPM以下に収まり、監査意見は無限定適正意見になりますが、残っている虚偽表示は、一覧表の形で、以下の者へ報告される仕組みになっています。
1 経営者
虚偽表示の一覧表を、経営者確認書に別添で提出することが求められております。
したがって、3月決算会社であれば、多くの会社で5月下旬前後に提出される会計監査法人による監査報告書と、6月末前に提出される、金商法による監査報告書とで、各々、交換される経営者確認書に添付されます。
そして経営者確認書は、通常、社長が自著するものであるため、虚偽表示の一覧表は、社長の目に触れる可能性があります。
もっとも、現場作業的には、経理担当者を介して、何の説明無しで経営者確認書が交換されるので、多忙な経営者が署名押印時に、実際見ているのか、どこまで理解されているかは疑問です。
2 監査役(会)
虚偽表示の一覧表は、3月決算会社であれば、多くの会社で5月中旬に開催される、会計監査法人から監査役(会)への監査報告時の報告資料中に、別添の形で、提出されます。
3 念のため補足する点
虚偽表示の一覧表ですが、監査役へ報告する時は、まだ会社法監査も完了する前ですので、途中段階のもの、いわゆるドラフトが提出されます。
しかし、事後に差し替えることは、監査役から個別に所望されることでもない限り、実務上は無いと思います。
【経理担当者にとって】
虚偽表示の一覧表は、経営者と監査役(会)へ提出されてしまいます。