解説
1 担当者にとって気になる?点
経理担当者は、稀に(しょっちゅう?)主査から非常識と思える依頼を受けます。
もし、ある取引について、全件のデータを提供しほしいと言われたらどうしますか?
「全部で10件」という話ならば対応も容易でしょう。また、「仕訳データを全件」という話であっても、本社の経理担当者のPC端末から会計ソフトから出力できる話です。
ただ、これが「全ての売上の請求書を提出してくれ」、という場合は、どうでしょうか?請求書は全国の各営業所に保管されているものを、本社へ全部郵送するのは大変煩雑です。
しかも、その依頼を受けてしまったあとに、「じゃあ、請求書トータルと一覧しているように内訳表も添付して提出しないと。。。」などと考えてしまうと、膨大な作業になってしまいます。
1 経理担当者に理解してほしい点
例えば、上記のケースが、「特定の売上の統制が4月から6月まで不備であるため、その期間の売上が全件実在していることを確かめるために、全社の売上計上の根拠を監査証拠として入手したい」というものであると想定します。
まず、上記のやり取りが10月である場合には、4月から6月までの売上の入金情報をベースにして確かめてもらえないか?と考えましょう。
つまり、売上金額トータル1本の実在性を確認したいのであれば、売上計上仕訳の相手勘定の売掛金側から見て、
売上の計上金額=売掛金の計上金額=売掛金の期末金額+入金トータル▲期首残高
という等式が成り立つので、右辺の3項目のトータル金額を足し引きして算出することも可能です。
2 念のため補足する点
監査法人の主査の依頼は、全件を、そのまま受諾し対応するとは考えない方が賢明です。
監査法人の理屈は、経理担当者にとって分かりにくいものかもしれませんが、そこをひと手間かけて、協議をしてみると、別のより合理的な方法や手段があることが多いです。
ですので、その監査チームの担当者が確認したいことを具体的に聞いて、いっしょに考えて頂くと、無用な膨大な手間を省くことが可能になります。
【経理担当者にとって】
監査法人の依頼に、対応が大変と思うものがあれば、まずはその真意を聞いてみましょう。