上場会社の監査法人の交代、会計監査の実務などを解説しています。

65 財務諸表監査で回収されるインストラクション中に記載された不備は、JSOXの不備として、どのようにカウントされるのでしょうか?

 解説

1     担当者にとって気になる?点

JSOX担当者で経理に明るい方は少なく、2つの決算・財務報告プロセスの不備の集計は不得手な方が少なくないと思われます。

特に、インストラクションは、そのフォームが元々JSOX専用のものではないため、門外漢の担当者にとっては分かりにくいモノの最たるものではないでしょうか?

2     経理担当者に理解してほしい点

インストラクションについては、もともと監査チームが財務諸表監査目的で作成しているものであり、会社側がJSOX文書として作成しているものではありません。

しかし、自社のJSOXの立て付け上、全社的な観点から評価する決算・財務報告プロセスの統制の一部の証跡と、経営者文書中で明確に指定している会社はよく見かけます。

また、私自身、JICPAのレビューを受けたケースでは、その会社のJSOX文書では特に明記していませんでしたが、レビュアーは当然のようにインストラクションで報告されていた、会社側での決算処理誤りを、JSOXの不備要約表の集計対象としていました。

 

インストラクションの様式は、各監査法人で細部は異なっているのですが、以下の2つの情報はどの監査法人のものにもあるはずです。

①    監査法人が発見した、会計処理誤りの一覧

②    そのうち修正された一覧

まずJSOX担当者にとって、②は基本的に関係ありません。統制が有効に機能しなかった不備をカウントするのですから、上記①の金額が全てであって、②の最終的に修正されたかどうかは関係ないためです。

そして上記①の内容は、利益に対してプラスに作用するものとマイナスに作用するものが混在されていますが、JSOXでは間違いの金額のトータルという意味合いのため、すべて絶対値で足し込むことになります。

 

この点は、経理担当者が「虚偽表示が全部でどれだけあるのか?PMの枠に収まっているのか?」に注意してカウントする場合に、

・上記①のうち上記②の分を控除して集計した金額をカウントする、

・金額的影響が眼目のため、プラスマイナスを通算する

のとは、対照的です。

例えば、①期末棚卸減耗損の500千円が計上漏れ、②有価証券の時価評価益(税効果考慮後)500千円が計上漏れ、③左記①②の虚偽表示とも修正済、というケースを考えますと、

・虚偽表示一覧表上は、訂正済ゆえ、ゼロ

・統制不備一覧表上は、500千円+500千円=1,000千円

という、双方が違った結果になります。

3     念のため補足する点

実務上、以上のことを明確に峻別して不備要約表を作成している会社は少数派と思われます。

実務上は、

・監査法人が不備要約表によって集計し、影響額が金額的重要性PM未満であったので、結果的に「適正」で、

・経営者評価文書上は期中に前倒して評価結果した時点では当然に「適正」で、期末のインストラクション上の不備は集計されずスルーされて、無記載のまま「適正」で、

で、JSOXの建て付け上、「経営者の『適正』と評価した結果は妥当である」という構図には入っているので、全体として問題ない、

という割り切り的な判断が、毎年繰り返されていると思われます。

【経理担当者にとって】

海外インストラクション上に記載されて報告される、修正仕訳については、JSOX上の決算・財務報告プロセス上、不備としてカウントすることは必ずしもなされていない場合があります。

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