上場会社の監査法人の交代、会計監査の実務などを解説しています。

販売用不動産等の評価に関する監査上の取扱い (平成21年2月17日)

解説

1.概要

不動産は、通常の企業にとっては、有形固定資産であるが、いわゆる不動産販売業者にとっては、棚卸資産である。

平成10年代に、いわゆるゼネコン不況のもとで大手の不動産販売業者のいくつかが破城したのですが、当該破城した会社の決算書上、不良在庫に含み損が開示されないことが問題とされたが、当時は、どの業種に対しても棚卸資産に対して評価損を強制する会計基準が無かった。

しかし、平成18年に、「棚卸資産の評価に関する会計基準」が公表され、通常の販売目的で保有する棚卸資産については、取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、収益性が低下しているとみて、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額とすることとされたため、以上の問題は制度的には解決された。

そこで、本報告の目的を販売用不動産等の評価に関する監査上の取扱いを示すものとする改訂がなされている。

2.ポイント

評価対象が不動産であることの特徴に鑑み、その評価に当たり、不動産鑑定評価基準や専門家の利用を明記している。

3.参照程度

不動産業の企業は、毎決算時に、固定資産の減損と同様の準備を要するため、必須である。

それ以外の業種では、「棚卸資産の評価に関する会計基準」で済むため、無用である。

[シリーズ] ひと言ずつ解説!会計監査六法 (2014.7.1時点)

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