解説
1.概要
子会社株式の著しい価値下落時の会計処理について、定めたものである。
子会社株式の価値が著しく下落した場合には、「金融商品に関する実務指針」の公表前には、投資損失引当金を計上するのが会計慣行であった。
しかし、「金融商品に関する実務指針」の公表により、子会社株式の価値が著しく下落した場合には、減損(=簿価の切り下げ)をすることになったはずである。
しかし、この論点については、従来の会計慣行を継続することを認めたものである。
2.ポイント
減損する代わりに、評価性引当金による処理が認められるが、その旨の注記を要するため、開示されることには変わりない。
それでも、この処理を採用することがメリットになりうるケースには、新規設立子会社が当初の数年間は赤字になるリスクがあるケースがある。
すなわち、金融商品会計を適用すると、数年間赤字であると、子会社株式を直接減損することになってしまい、将来業績が回復しても、簿価は切り下げ後のままである。
しかし、当取扱いにより、引当金処理すれば、将来業績が回復した場合には、引当金を戻入することにより、簿価を、当初の投資価額に戻すことができる余地を残すことができる。そして実際、戻す企業があります。
→ 開示例
3.参照程度
子会社の設立が、(M&Aでなくて)、例えば、「和食チェーン店が海外に初出店する」ようなケースのように、設立後、数年は赤字続きの可能性がある投資では、予め会計方針を検討しておくため、参照することは意義があると考える。
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