上場会社の監査法人の交代、会計監査の実務などを解説しています。

包括利益の表示に関する会計基準 (平成24年6月29日)

1.概要

包括利益の表示に関する会計処理・表示を定めたものである。

2.ポイント

包括利益は、当期純利益と、その他の包括利益、とに二分され、その他の包括利益とは、会計の教科書でいう実現利益以外の利益(代表的なものは、評価損益→その他の有価証券評価差額金、土地再評価差額金など)である。つまり、当会計基準は、その他の包括利益の扱いを定めているともいえる。

資本と利益の区別に尽きる話であるのだが、ロートルな会計士の中には、難しく考えてしまい混乱しているもいます。

いわゆるリサイクリングも導入されているが、それを含めて、当基準は、仕組みを定めたものに過ぎません。

また、換言しますと、金融商品会計基準導入時(有価証券の時価評価=その他の有価証券の時価評価)から、実は包括利益の考え方は導入されており、それを包括利益という概念で整理しただけと、思えれば、大丈夫です。

今後、特定の会計ごとに、処理を定めるようになると、別途、適用指針や実務指針の類が追加されるのかもしれませんが、以上の通り、仕組みを定めている程度に留まっているので、会計基準どまりである。

ただ、そのため、設例等は、分かっている人にとっての最小限だけしか用意されていない。実務上は、有価証券報告書(年度末)の、その他の包括利益の発生額と組替調整の注記のみしか使わない。

3.参照程度

その他の有価証券を持っている企業は大部分であることからも、包括利益は避けて通れません。

[シリーズ] ひと言ずつ解説!会計監査六法 (2014.7.1時点)

  • facebook
  • twitter
PAGETOP
Copyright © 会計・監査・研究所 All Rights Reserved.