上場会社の監査法人の交代、会計監査の実務などを解説しています。

連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い (平成22年2月19日)

解説

1.概要

海外子会社の財務諸表を、連結子会社として、連結決算上取り込む際に、連結(最初は資本連結)に先立ち、個別財務諸表の修正を行うが、その際の取扱いを定めている。

2.ポイント

在外支社であれば、送金処理等以外は、日本の親会社の処理で良いのであるが、現地の在外子会社の決算書は、そうはいきません。

通常、現地の国での納税のために、現地のGAAPに従った決算書が作成されます。

現地のお目付け役として、現地の会計事務所(日本でいう監査法人)に、監査をさせることが多いと思いますが、彼らは当然ながら、現地の国のGAAPに照らして妥当かどうかという観点から監査を実施します。

理想は、日本のGAAPで決算をして日本の親会社へ報告し、 →  それを現地のGAAPに組替える、のが理想ですが、そんな芸当は現地の会計事務所にはできません。

当「当面の取扱い」で特徴的なのは、原則として、親子会社間で、会計方針は統一しろといいつつも、以下の点が明記されている→統一無用でいいと言っていることです:

  • 上記の統一は、「同一環境下で行われた同一の性質の取引等について」と枕詞を打っており、例外の途を残していること、
  • 当面の取扱いとして、海外子会社がIFRSか米国基準を適用していたら、負ののれん等を除いて、調整無用でよいこと、

なお、退職給付会計については、退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理について明記していますが、これ以外の実務上、見落としやすい論点があります。

それは、現地では、日本でいう退職給付は、従業員給付と整理されており、その中には、日本では認識しない有給消化引当金が含まれている点です。これは親子間での会計方針の統一を考えると、

  • 子会社で計上している分の引当金を取り崩す修正仕訳をするか、
  • 敢えて修正仕訳はせず、その事実を認識しつつ、虚偽表示として重要性で逃げる(ただし、調書として文書化はする)

のいずれかになります。

3.参照程度

とても重要な取扱いであるため、新たに連結子会社に取り込まれた会社の取引を精査する際に、必ず参照してほしい。

[シリーズ] ひと言ずつ解説!会計監査六法 (2014.7.1時点)

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